COVID-19の厄介なところは、回復した後に心血管系疾患の発症リスクが高くなることで、感染からかなり時間が経ってから脳血栓、心筋梗塞などを発症する人が少なからず存在します。
そこで、新型コロナワクチン接種の心血管系疾患の発症リスクに対する効果についての論文(Heart. 2024 Apr 15;110(9):635-643. doi: 10.1136/heartjnl-2023-323483.)を紹介します。
下図は、イギリスの研究グループが、イギリス、スペイン、エストニアの電子データを合わせて解析したものです。ワクチン接種をしてから0-30日、31-90日、91-180日、181-365日後におけるそれぞれの心血管疾患発症リスク(ハザード比)を示しています。ハザード比が1以下ということはワクチン接種により発症リスクが低下、1以上であれば発症リスクが増加したことを意味します。

上図を見ると、静脈系の血栓症、塞栓症などがワクチン接種により発症リスクが半減し、動脈系の血栓症、塞栓症でも有意に発症リスクが低下していることがわかります。一方、心筋炎、心嚢炎、出血性卒中、心室性不整脈などの発症リスクは接種から半年後まで低下傾向が認められたものの、それ以降では低下傾向の持続は認められませんでした。
以上から、新型コロナワクチン接種によって、感染後に見られる心血管疾患の発症リスクはあきらかに低下し、多くの疾患でその抑制効果が長続きすることが分かりました(静脈系疾患では発症抑制が1年間は続く)。
ワクチンの追加接種自体のリスクはゼロではありませんが、追加接種によって得られるベネフィットはそのリスクを大きく上回るものと考えられます。高齢者や基礎疾患を有する方では、ワクチンの追加接種を検討した方が良いでしょう。 (小児科 土谷)

