身近な胃薬の1つであるプロトンポンプ阻害薬(PPI)と高血圧症の関連について調べた研究(BMJ open. 2025 Nov 27;15(11);e105962. pii: e105962.)を紹介します。
WHOの薬物監視データベースであるVigiBaseのリアルワールドデータを使用しました。
Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)V.26.1を用いて、1種類以上のPPI投与に関連する高血圧症の新規発症例を特定し、2024年10月28日まで系統的に収集しました。多変量case/non-case研究デザインにおいて調整済み報告オッズ比(aROR)を算出し、PPI使用と高血圧症との医薬品安全性監視シグナル、およびPPI投与量と高血圧症の発症・悪化の用量依存性を分析しました。
その結果、データベースにはPPI関連高血圧症2万6,587件(2.3%)が報告され、女性(63.3%)に多く、45~64歳で最も頻度が高かった(41.4%)ことが分かりました。
薬剤別の件数はオメプラゾール9,935件、pantoprazole 8,276件、エソメプラゾール5,737件、ランソプラゾール3,430件、ラベプラゾール1,272件、dexlansoprazole 522件でした。
年齢、性別、併用降圧薬、高血圧誘発が知られている薬剤を調整後、ランソプラゾール(aROR:0.99、95%信頼区間:0.96~1.03)を除くPPIで有意なaRORが認められました。これらは用量反応関係を示唆する傾向が認められ、統計学的に有意ではないものの、すべてのPPIにおいて中央値未満の用量では中央値超と比較して高血圧症のaRORが低い傾向があったことが分かりました。
以上から、ランソプラゾール以外のPPIで高血圧症との関連が示唆され、用量反応傾向が認められたことが分かりました。
普段使用されることが多い薬剤なので、一応頭の片隅に置いておくと良いと思います。 (小児科 土谷)

