どんな病気?
百日咳菌が、飛沫感染および接触感染することで起こる病気です。
典型例では咳が続くことで顔が真っ赤になり、その後息を吸い込むときに笛を吹くような音が出ます。ワクチンを接種していない新生児や乳児では、無呼吸やけいれんを起こしたり、肺炎や脳症などの重症な合併症で亡くなることもあります。
現行の予防接種によって小児患者は減少しましたが、近年ではワクチンによる免疫効果が弱くなった小・中高生や大人、高齢者の罹患者が増加しています。これらの患者さんは、百日咳と判断できるわかりやすい症状がないために、咳が長引いても気づかず、新生児や乳児に感染させてしてしまうケースが問題となっています。
どんな症状?
典型例では、最初の2週間はくしゃみ・鼻水など風邪に似た症状で始まり、徐々に咳嗽がひどくなっていきます(カタル期)。
次の2-3週間は短い咳嗽が連続し(スタッカート)、咳き込んだ最後に「ヒュー」と笛を吹くような音を立てて息を吸う(吸気性笛声)という特徴的な発作を繰り返すようになります(痙咳期)。重症例では、目の周りのむくみや点状出血、乳児では無呼吸が起こることもあります。
その後の2-3週間で、徐々に咳発作の回数・強さが減っていきます(回復期)。ちなみに、全体の経過は2~3か月に及ぶことが一般的です。
予防接種が済んでいる小児や成人は比較的軽い症状で済むことが多いですが、予防接種前の新生児・乳児の場合は重症化することがあるため要注意です。
どうやって診断するの?
百日咳は、臨床症状、経過から疑い、以下の検査で診断されます。
- LAMP法:のどの粘膜から採取した検体を用いた遺伝子検査
- 抗原検査:鼻咽頭ぬぐい液を用いて検査を行います。検査結果が15分程度で判明する簡便性の高い検査です。
- 抗体検査:LAMP法で陰性の場合は、抗体の有無を調べる血液検査を行います。発症早期の診断が難しく、過去のワクチン接種歴があると結果の解釈が難しいこともあります。急性期と回復期の2回の採血が必要なことがあります。
- 培養検査:検査結果は5~7日程度で判明します。既に抗生剤を投与されている場合は正確な検査結果が得られないこともあります。
どんな治療をするの?
治療には、マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)をカタル期に使用することで効果的な治療が期待されます(痙咳期に入るとあまり効果が期待できません)。ペニシリン系、セフェム系抗菌薬は効果がありません。
百日咳を予防するためには?
三種・四種・五種混合ワクチンにより感染予防ができます。感染予防効果は5~10年程で減弱してしまうため、日本小児科学会では、5~6歳の幼稚園年長にあたる時期と11~12歳の二種混合ワクチンの接種時期に三種混合ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風のワクチン)を接種を推奨しています(自費ですが)。
アメリカやカナダなどの諸外国では妊婦への百日咳ワクチンが推奨されており、新生児感染の予防に成果をあげています。日本では妊婦に対する接種は三種混合ワクチンで代替されています。残念ながら、2025年8月現在、三種混合ワクチンは需要の増加に供給が追いついておらず入手が難しい状態となっています。
日常生活でできる感染予防策では、手洗いとマスクの着用、室内の換気が有効です。
生後2か月未満の乳児はワクチン未接種です。家族内で咳が長引いている方がいる場合は、乳児になるべく近づかないように配慮してください。
いつから登園・登校可能ですか?
学校保健安全法により、百日咳と診断された場合は「特有の咳が消失するまで、または5日間の適切な抗菌薬による治療が終了するまで」出席停止となります。
一般的には抗菌薬を飲んでも咳はしばらく続くため、5日間抗菌薬を飲み切ってから登校、となることが多いです。


