重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)が問題になることは言わずもがなですが、いびきをかく程度の軽度の睡眠呼吸障害の小児は積極的に治療すべきなのでしょうか?(JAMA Pediatr. 2025 Jun 1;179(6):600-609.)
2016年6月~2021年2月に年齢3~13歳で扁桃肥大のグレードが2以上、BMIのzスコアが3未満の軽度睡眠呼吸障害患者を登録し、早期にアデノイド扁桃摘出術を行った介入群と、対症療法下で経過観察を行った対照群のアームを比較するPATS試験を実施しました。PATS試験の副次評価項目に設定されていた医療サービスの利用について分析し、介入群は手術の29日後以降、ランダム割り付けから365日目まで、対照群ではランダム割り付けから12カ月間の総受診回数と処方箋発行回数を比較しました。
条件を満たした381人(介入群190人と対照群191人)を分析対象としました。年齢の中央値は6歳(四分位範囲4~8)で、50%が女児でした。
アデノイド扁桃摘出術は医療機関の受診を32%減らしており、1人・年当たりの受診回数の平均値は、介入群が2.65回(95%信頼区間2.17-3.12)、対照群は3.89回(3.27-4.52)で、差は-1.25回(-1.96から-0.53)でした。医療サービスの利用における差は、入院や救急受診ではなく、外来受診(平均減少は1人・年当たり0.77回)と外来での処置(1人・年当たり0.44回)の減少に起因していました。介入群と対照群の間の差が最も大きかったのは、中耳炎(平均差-0.33)や睡眠(平均差-0.32)などの呼吸器疾患に関連する受診でした。その他のカテゴリの受診には、有意差は認められませんでした。
処方箋の発行は介入群で48%少なく、1人・年当たりの平均差は-2.53(-4.12から-0.94)でした。薬の種類では、鎮痛薬/麻酔薬-0.81(-1.41から-0.21)、皮膚科疾患治療薬-0.54(-0.95から-0.13)、ステロイドを含む呼吸器疾患治療薬-0.50(-0.93から-0.07)、その他の薬剤-0.43(-0.80から-0.06)の処方に有意差が見られました。
以上から、軽度の睡眠呼吸障害がある小児を対象に、早期のアデノイド扁桃摘出術を実施する群と対症療法を伴う経過観察群のランダム化比較試験Pediatric Adenotonsillectomy Trial for Snoring(PATS)の2次解析を行ったところ、早期に手術を行った群では、その後1年間の医療サービスの利用が少なかったことが分かりました。
程度の差こそあれ、扁桃肥大のあるお子さんは数多く受診されます。早期介入で受診負担が減らせるのであれば、一考の余地あり。
今後、費用対効果なども含めて検証していって欲しいものです。 (小児科 土谷)

