院長先生のブログ
はしか
東京都内で3年ぶりに「はしか(麻疹)」が確認されています。
東京都内で男女がはしかに感染 都内では3年ぶり 2人に面識なし(テレビ朝日系(ANN)) – Yahoo!ニュース
「はしか」すでに昨年上回る12人感染、訪日客増で拡大の恐れも…ワクチン未接種の子供多く(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース
麻疹は恐ろしい病気です(下図左のような発疹を認める病気で、すごく感染力が強い感染症です)。感染した子どもの約3割で中耳炎、肺炎、脳炎などの合併症をおこし、そのうち脳炎は0.05%~0.1%に発生して大きな死亡原因になります。さらに、麻疹が治癒しても、2~10年後にSSPEという神経の破壊を起こす恐ろしい病気にかかる可能性もあります(これらに対し、特効薬はありません)。
その昔、麻疹は「命定め」の病気として恐れられていました(上図。江戸時代には、たびたび流行を繰り返し数多くの感染者と死者を出しています。生類憐みの令で有名な徳川綱吉夫妻の死因も麻疹だったとか)し、戦前でも麻疹で約1万人、百日咳で約1万人、ジフテリアでも3000人以上が死んでいたのです。
(写真はTwitter、@kamekurasan1より)
ちょうど今週5月9日に開催した「麻疹ワクチン」の院内勉強会でも触れましたが、コロナ禍を経て子どもの麻疹ワクチンの接種率が低下しており、海外から国内に持ち込まれると突発的な大流行(アウトブレイク)がおこる懸念があります。
麻疹はワクチンで防ぐことが出来る病気です。
もし、1歳を過ぎても麻疹ワクチンの接種が済んでいない方は、出来るだけ早めにワクチン接種をすることをおすすめします。 (小児科 土谷)