「人工呼吸を省略した蘇生法」が、子どもの救命にどう影響したのかを調べた研究を紹介します。

Compression only CPR and mortality in pediatric out-of-hospital cardiac arrest during COVID-19 pandemic – Resuscitation

 

日本では2005年から、ウツタイン様式という国際規格に基づいて、病院外で起きた心停止について全国の消防本部によってデータが取られています。

この統計データを使って、コロナ前~コロナ後の子どもへのバイスタンダーCPRの実施率と死亡率について比較検討しました。

 

主な結果は・・・

  • 7,162件の小児心停止症例のうち、現場にいた人によってCPRが実施されたのは 3,352件(46.8%)
  • 人工呼吸を含めたフルサイズの蘇生法が実施された割合は、コロナ前は33.0%だったが、コロナ中には21.1%に減少した
  • 胸骨圧迫のみの蘇生法の実施割合は、30日死亡率と不良な神経学的転機と相関していた。この傾向は年齢や心停止の原因を問わず一貫して見られ、特に非心原性心停止の場合に顕著だった。
  • 人工呼吸を併用した蘇生処置実施の減少により、コロナ中は年間10.7件の過剰死亡が起きていたと推定される

結論として・・・

  • 小児の病院外心肺停止における救命呼吸の重要性を強調している。
  • 胸骨圧迫のみのCPRは成人には適していても、小児では予後を悪化させる可能性がある。
  • 小児の蘇生訓練においては人工呼吸を重視し、感染対策を強化し実施していくことが、今後の感染拡大事態においても不可欠と言える。

 

要するに、胸骨圧迫のみの蘇生法が一般的になった影響で子どもの救命率が下がってしまったということです。

 

そもそも、コロナ禍で厚労省が出した市民向けの救急蘇生法の指針には「小児蘇生では人工呼吸を実施するように」と書かれていたのですが、成人蘇生に適応される「人工呼吸はしない」という部分が切り取られて独り歩きし、残念ながら誤った情報が定着してしまったようです。

 

ガイドラインもG2025になり、子どもへの人工呼吸の重要性が再度強調されるようになりました。

この機に、正しい「小児への心肺蘇生」を学んでみては如何でしょうか? (小児科 土谷)