院長先生のブログ
COVID-19 小児編⑪
子どもと大人で、新型コロナ感染時の免疫反応はどのように違うのでしょうか?ドイツとアメリカの研究グループからの報告です(Cell. 2023 Oct 12;186(21):4632-4651.e23. doi: 10.1016/j.cell.2023.08.044. Epub 2023 Sep 29.)。
Multi-omics analysis of mucosal and systemic immunity to SARS-CoV-2 after birth: Cell
新型コロナ感染前後で気道粘膜と全身における免疫反応を調べ、小児と大人で比較しました(感染時の年齢中央値は小児は9ヵ月、大人は59才)。
その結果、小児は大人に比べて自然免疫反応を強く起こすものの、過剰な炎症は起こしにくく、上気道での新型コロナウイルスに対する免疫反応が大人よりも早い傾向が認められました。また、小児の血中の抗体価は大人ほどは高く上がらないものの、大人より長く持続する傾向があることが分かりました。
これらが小児がSARS-Cov-2に感染しても重症化しにくい理由の一つかもしれません。
小児は気道から新型コロナウイルスが侵入しても、大人よりも早く反応して抗体が長く維持できるので、感染しても軽く、その後しばらくは感染しにくくなることが推測されます。
小児がSARS-Cov-2に罹患しても、成人より重症化しにくい理由が、少しずつ明らかになってきましたねw 研究グループの先生方に感謝です。 (小児科 土谷)