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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

子どもの熱中症⑤

暑い日が続きます。

今年はパリオリンピックということもあり、国際的なスポーツイベント時の熱中症対策についても、折角なので理解を深めておきましょうw (今回は、あんまり子どもに関係ない話題です)

 

国際的なスポーツイベントにおける熱中症対策

暑熱下で、トレーニングや競技の時間が長引くと生理的負担が増加して熱中症のリスクが高まります。

アスリートの健康を守ることは大会の最優先事項であるため、国際オリンピック委員会(IOC)は2011年に専門委員会による提言を以下のようにまとめています。

1)水分・塩分補給

運動前後や運動中の十分な水分補給は、暑熱下での運動や競技を安全に行う上で不可欠です。必要な水分や塩分の摂取量は競技種目や個人により異なるため、日頃から運動前後の体重や尿の色・量の変化についてモニタリングしておくことが推奨されます。

2)暑熱順化

普段の環境よりも、高温又は多湿の環境で競技を行う前(数日~1週間、可能なら2週間)に環境順応を行うことで熱中症のリスクを減少させることが出来ます。

3)ウォーミングアップとプレクーリング

暑熱環境下では、ウォーミングアップの強度や時間を制限し、アイスベストやアイスラリーにより競技開始前に体温を出来るだけ平熱に戻しておくことが重要です。

4)衣類・備品

競技用のスポーツウェアは、汗の蒸発を妨げないような衣服が推奨されます。日焼け止めやサングラスの使用も有効です。

5)設備

競技中だけでなく、競技終了後の回復エリアでも熱負荷を最小限に抑える工夫が必要です。エアコン設備や日陰エリアのほか、競技場近くに冷却施設を設置し、訓練を受けたスタッフによって必要時に急速冷却を行えるような行動計画を策定しておく必要があります。

6)競技スケジュールの設定

暑熱下への曝露が少ない時間帯に競技スケジュールを設定します。暑熱環境下では、競技中の休憩をより長く、頻繁にとることが出来るように配慮が必要です。

 

尚、安全な競技実施のためには、体外の温熱環境を推定する必要があります。オンサイトの暑さ指数(WBGT)を活用し、指標に沿った決定を行うことが推奨されています。

 

原文は下記リンク(Br J Sports Med. 2012 Sep;46(11):770-9. )を参照願います。

International Olympic Committee consensus statement on thermoregulatory and altitude challenges for high-level athletes | British Journal of Sports Medicine (bmj.com)

 

オリンピックなどの国際的なスポーツイベントに限らず、夏は大小問わず様ざまなスポーツ大会が開催されます。

大会中に熱中症患者を発生させないよう、事前の準備・運用計画をきちんとしておきましょうw (小児科 土谷)

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