院長先生のブログ
コーヒーとアルツハイマー病
アルツハイマー病の予防や発症を遅らせる可能性のある生活要因について様々な研究がなされていますが、今回はコーヒー摂取がアルツハイマー病リスクに及ぼす影響を調べたシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した論文( Journal of lifestyle medicine. 2023 Aug 31;13(2);83-89. )を紹介します。
“coffee”、”caffeine”、”Alzheimer’s disease”などのキーワードを組み合わせて、各データベース(Pubmed、Embase、Web of Science)から関連する研究を検索しました。
相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出し、エフェクトサイズを推定しました。分析には、ランダム効果モデル(不均一性がI2>50%の場合)または固定効果モデル(不均一性がI2<50%の場合)による一般化逆分散分析に制限付き最尤法を用いました。
その結果、11件の研究がメタ解析に含まれました。
日常的に1日当たり1~2杯および2~4杯のコーヒーを摂取した人は、アルツハイマー病の発症リスクが有意に低かったことがわかりました。
【1~2杯】RR:0.68、95%CI:0.54~0.83、I2=50.99%
【2~4杯】RR:0.79、95%CI:0.56~1.02、I2=71.79%
一方、1日当たり4杯以上コーヒーを摂取する人では、アルツハイマー病の発症リスクの増加が認められました(【4杯以上】RR:1.04、95%CI:0.91~1.17、I2=0.00%)。
以上から、1日のコーヒー摂取が1~4杯であればアルツハイマー病リスクの低減が認められるものの、4杯以上ではかえってリスクが増加する可能性があることが分かりました(飲み過ぎは良くない)。
何事も、バランスが大事ですねw (小児科 土谷)