院長先生のブログ
long COVIDの病態 -その他⑫-
long COVID患者での神経炎症を示す画像所見と血管機能障害マーカーとの関連について検討した論文(bioRxiv. October 20, 2023. doi.org/10.1101/2023.10.19.563117)です。
TSPO結合性リガンドを用いることで可能になったグリア細胞(とくにミクログリア)のPET神経画像を用いて、12人のlong COVID患者(オミクロン前の感染、2例のみ入院、1例のみワクチン接種)と43人の対照者を比較しました。
その結果、中帯状皮質、前帯状皮質、脳梁、視床、大脳基底核、脳室境界部など幅広い脳領域で、long COVID群では神経炎症が有意に増加していたことが分かりました(下図)。
また、神経炎症と血管機能障害に関連するマーカー(フィブリノゲン,α2マクログロブリン,orosomucoid,fetuin A,sL-selectin,pentraxin-2)との間に有意な正の相関が認められました。
以上から、神経炎症と血管機能障害との相互作用がlong COVIDの病態に関与している可能性が示唆されました。 (小児科 土谷)