院長先生のブログ
週末の寝だめの健康への影響は?
輪番の日には成人診療もしているので、ときどき大人の健康に関する話題も混ぜています。
自分は勤務医時代の悪影響かもしれませんが、超ショートスリーパーです。
睡眠不足を訴える方の中には、週末など時間がある時に寝だめ(キャッチアップ睡眠)をとる方も多いと思います。そこで、今日は週末の「寝だめ」に関する話題(Sleep health. 2023 Nov 23; pii: S2352-7218(23)00226-7.)にしたいと思います。ちょうど週末ですしw
2017~18年に実施された米国の国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)に参加した20歳以上の3,400例を対象とし、週末のキャッチアップ睡眠と心血管疾患(CVD)の関連を検討しました。
週末のキャッチアップ睡眠は、週末の睡眠時間が平日より1時間以上長いことと定義しました。
その結果、対象となった3,400例(男性:1,650例、女性:1,750例)のうち、333例(9.8%)がCVDを有していました。
CVDを有している参加者は、CVDを有さない参加者と比べて週末のキャッチアップ睡眠時間が短かったことが分かりました(p<0.01)。そして、週末のキャッチアップ睡眠がある参加者は、キャッチアップ睡眠のない参加者と比べてCVDの有病率が低かった(p<0.01)ことも分かりました。
さらに、多変量解析において、週末のキャッチアップ時間は狭心症(p=0.04)、脳卒中(p<0.01)、冠動脈性心疾患(p=0.01)の有病率とも関連していました。平日の睡眠時間が6時間未満の集団では、週末のキャッチアップ睡眠がCVDの有病率の低下と関連し(p<0.01)、この集団において週末のキャッチアップ睡眠時間とCVDの有病率の関連を検討した結果、週末のキャッチアップ睡眠時間が2時間以上だとCVDの有病率が低下していたことも分かりました(p=0.01)。
以上から、平日の睡眠時間が6時間未満の集団において、週末のキャッチアップ睡眠が2時間以上だと、CVD発生のリスクが低下するようです。
自分の場合、折角の休日が嬉しくなって出かけてしまう性分なのですが、健康に良いなら少しはジッとして睡眠をとるようにしたいと思います。 (小児科 土谷)