院長先生のブログ
わさびが認知機能に与える影響
昨日、近所のお寿司屋さんでお刺身を食べたので、思いつきで「ワサビ」に関する話しです。
わさびが健康に良いことは、これまでの研究で指摘されていますが、今回の論文( Nutrients. 2023 Oct 30;15(21); pii: 4608.)はわさびに含まれている抗酸化・抗炎症化合物であるヘキサラファン(6-MSITC)の摂取が認知機能にどんな影響を与えるのかについて調べています。
健康なボランティア72人(平均年齢65.43歳、女性53人)を対象に二重盲検化ランダム化比較試験を実施し、わさびに含まれている抗酸化・抗炎症化合物であるヘキサラファン(6-MSITC)の摂取が認知機能に与える影響について検討しました。
対象者は、12週間にわたってヘキサラファン0.8mgを含有するわさび抽出物のサプリメントを摂取する群(ヘキサラファン群)とプラセボを摂取する群(プラセボ群)にランダムに割り付けられました。
介入前・後に対象者の認知機能(実行能力、エピソード記憶、処理速度、作業記憶、注意力)の評価を行いました。
その結果、ヘキサラファン群ではプラセボ群と比べて、エピソード記憶と作業記憶の成績が有意に向上していたことが明らかになりました。これら以外の認知機能については、プラセボ群との間に有意な差は認められませんでした。
ちなみに、わさび摂取で記憶力が向上する理由として、著者らは「ヘキサラファンに記憶を司る脳の海馬領域の炎症を抑制し酸化レベルを低下させる作用があるのではないか」と推察していましたw
以上から、少人数の研究であるものの、わさびには高齢者の記憶力を向上させる効果があることが示唆されました。
わさびの「意外な健康効果」に関する論文でした。
他の世代にもわさびを摂取させ、認知症患者の記憶力低下を遅らせることができる/発症を予防することが出来るかどうか調べて欲しいところですね! (小児科 土谷)