院長先生のブログ
子どもの不眠症はいつまで続く?
学齢期や思春期の子どもたちに不眠症が認められることはよく知られています。
小児期に認められるこの不眠症、成人になるにつれてどのように変化するのでしょうか?( Pediatrics. 2022 03 01;149(3); pii: e2021053616.)
502人の小児(年齢中央値9歳)を対象に、成人になるまで追跡し、成長に伴う不眠症の症状の変化を調べました。
不眠症の症状は、研究開始時と、調査開始から7.4年後の思春期(年齢中央値16歳)、および15年後の成人期(年齢中央値24歳)の3回にわたって、対象者本人またはその親に質問票を使って調査を行い評価しました。小児期と思春期には終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)も実施しました。
その結果、不眠症の小児の43.3%が思春期と成人期を通して不眠症に悩まされていたことが分かりました。26.9%の小児は小児期のうちに、11.2%の小児は思春期以降に不眠症の症状が緩和したものの、18.6%は症状が改善したかと思えば悪化するような漸増漸減パターンを経験していました。
一方、不眠症のなかった小児は、48.1%が思春期から成人期に入っても、睡眠に問題を抱えることはありませんでした。しかし、15.2%は思春期から、また20.7%は成人期になってから、新たに不眠症の症状を呈するようになりました。
不眠症の小児がその後に不眠症の成人になるリスクは、不眠症のなかった小児の約3倍に上ります。
小児期に健康的な睡眠習慣を身に付けさせることは大事です。
夜遅くまで宿題しなくて済むように、きちんと時間管理しましょうね! (小児科 土谷)