院長先生のブログ
予防接種を躊躇する理由はワクチンで異なる
予防接種を躊躇する理由はワクチンで異なるみたいです。
新型コロナウイルスワクチンとインフルエンザワクチンで、人々の有効性や安全性の捉え方、接種の意向、躊躇する理由などについて調査した論文(JAMA network open. 2023 Dec 01;6(12);e2349881. pii: e2349881.)を紹介します。
2023年7月7~16日に、米国の18歳以上の成人3,232人を対象にアンケート調査を実施しました。
その結果、エントリーした3,232人のうち、1,430人(44%)がアンケートに回答しました。
ほぼ同数の割合の人々が、ワクチン接種が重篤な症状や入院を防ぐのに非常に効果的であると回答していました(コロナワクチン42% vs.インフルワクチン40%)。
ワクチンの安全性については、コロナワクチンと比べてインフルワクチンは非常に安全だと思っている人々の割合が高かったことが分かりました(コロナワクチン41% vs.インフルワクチン55%)。
今シーズンにワクチンを接種する可能性が非常に高いと答えた割合も、コロナワクチンと比べてインフルワクチンのほうが多かったことがわかりました(コロナワクチン36% vs.インフルワクチン49%)。
ワクチン接種を躊躇する人において、コロナワクチンとインフルワクチンで接種を躊躇する理由が異なっていたことが分かりました。
新型コロナワクチンを懸念する理由として、多い順に、より多くの研究をしてほしい(60%)、ワクチンの安全性への懸念がある(51%)、政府機関によるワクチンの推進を信頼していない(45%)、ワクチンが予防に非常に有効だと思わない(40%)、ワクチンよりも感染して自然免疫を得たい(38%)、ワクチンの製薬企業を信頼していない(38%)が挙げられました。
インフルワクチンを懸念する理由として、多い順に、ワクチンよりも感染して自然免疫を得たい(37%)、人々があまりにも多くのワクチンを接種することを期待されていると感じる(30%)、政府機関によるワクチンの推進を信頼していない(27%)、ワクチンが予防に非常に有効だと思わない(27%)、感染しても重症になると考えていない(27%)、ワクチンの安全性への懸念がある(25%)が挙げられました。
以上から、有効性については両ワクチンとも40%の人が非常に効果的だと考える一方で、インフルワクチンよりも新型コロナワクチンの接種に、人々はより「消極的である」ことが示されました。
両ワクチンともに、接種を躊躇する理由の中に科学的な理由で無いものも多く含まれるため、我々としては、その時点で正しい情報をきちんと提供していくしかないのでしょうね。。(小児科 土谷)