院長先生のブログ
赤ちゃんの「おくるみ」には要注意

先天性股関節脱臼という病気があります。
赤ちゃんの股関節の脱臼は生まれてすぐよりも、しばらくしてから分かることがほとんどです。
生後、股関節に「よくないこと」が影響して脱臼に進むことが考えられています。
乳児健診などで股関節脱臼を指摘された場合、本当に脱臼があれば、必ず治療を開始しなければならず、その治療結果によっては手術が必要な場合もあります。大人になっても後遺症が残ることもあるため、長期にわたり心配な病気と言えます。心配される保護者の方も多いと思いますが、まず大切なことは正しい情報を知ることです。
日本小児整形外科学会のHPをご参照ください!
赤ちゃんの股関節脱臼 ―正しい知識と早期発見のために― | 日本小児整形外科学会 (jpoa.org)
赤ちゃんの股関節に「良いこと」は?
生まれた時にすでに股関節がはずれている場合もありますが、殆どは生まれた後で外れてゆきます。
要するに、日常の赤ちゃんに対する扱い方次第で、股関節が悪くもなり、良くもなるということです。
赤ちゃんの股関節に悪いことをしないように、股関節に良いことを学びましょう。
ちなみに、赤ちゃんはO脚で、カエルのようにお股をM字に開いているのが正常で、股関節の動きを自由にさせる扱いは「たいへん良いこと」だと覚えておきましょう。
股関節によいおむつの当て方・衣類・おくるみの方法は?
おむつの当て方が低い(足先方向にずれる)と、サイドギャザーで太ももが開くのを邪魔されてしまいます。おむつ交換時に、股関節の前外側の皮膚に赤みがあれば、おむつが低いためにこすれていたことの証拠です。ウエストテープが臍の高さにくるようにしましょう。臍が見えているようなら、おむつが低いか、おむつサイズが小さくなっているか、なので改善しましょう。
おむつを装着後、必ずお股を開いて外側に食い込みがないかをチェックしましょう。おむつが下にずれると脚が短く見え、良くない状態です。
寒冷地などにお住まいの方では、赤ちゃんに風邪をひかせてはいけないと、厚着をさせてあし(脚)までしっかり服を着させることもあると思います。お股の間までボタンで止めてしまう衣類は、サイズが小さいと、股関節の動きを邪魔してしまうため要注意です。お股のボタンはとめずヒラヒラと自由さを保ってあげてください。
秋冬に生まれた赤ちゃんに股関節脱臼が多いことが知られています。衣類による防寒対策が影響しているものと思われます。室内を暖かくして薄着、もしくは下半身を自由にすると良いでしょう。
夜泣きでぐずる赤ちゃんに「おくるみ」がなされ、一定の効果があるようです。
赤ちゃんの体を布で巻きつけることで、抱っこされた感覚を与え、赤ちゃんに安らぎが与えることが出来るため効果があるとされています。
しかし、脚(あし)までグルグル巻きにされると、股関節が伸びた悪い状態になってしまいます。
抱っこされた感覚は上半身だけの巻きつけで効果があるみたいなので、ブランケットやバスタオル等で上半身と手を巻きつけた後、脚(あし)は巻かずにしっかりと開く状態であることを確認しましょう。
「子どもの股関節を守る」「保護者のメンタルもケアする」ともに大事なこと。
少しでも、明日からの育児の参考になってくれれば幸いです。 (小児科 土谷)