院長先生のブログ
教室の環境整備も大切です
気管支喘息を持つ生徒がいる教室で、環境相対カビ指数(Environmental Relative Moldiness Index:ERMI)を用いて定量化したカビレベルに対するHEPAフィルターによるろ過の介入の効果と、生徒の喘息がどのくらい改善するかを見た研究(The Journal of asthma : official journal of the Association for the Care of Asthma. 2023 Mar;60(3);479-486. doi: 10.1080/02770903.2022.2059672.)を紹介します。
150例の気管支喘息の患児を対象に、教室と家庭内から、学年の始めに介入前サンプルとしてダストの捕集を行いました。
HEPAフィルターあるいは偽フィルターの介入を行い、その後のダストの捕集を行いました。
さらに、介入前と介入終了時に、スパイロメトリー検査によって各生徒の肺機能を評価し、%1秒量を測定し比較しました。
その結果、介入前の教室のカビレベルが自宅よりも高いグループの生徒94例は、%1秒量の結果が教室のカビレベルと有意に逆相関していました(p<0.05)。
HEPAフィルターを用いた介入によって、カビの量が減少し、その後%1秒量の平均値は偽フィルター介入と比べて4.22%高くなることも示されました。
要するに、コントロールのつきにくい気管支喘息の患児を診ていく際、患児がカビレベルが高い教室に通学しているのであれば、積極的にHEPAフィルターによるカビ除去を目指したほうが良いと考えられるということです。
コントロールがつきにくい状況が続くことは、中長期的に喘息患児の肺機能を低下させることにつながるので、今後を見据えて、可能な限りダストの除去を心掛けたほうが良いでしょう。
自宅だけでなく、教室も!意外な盲点ですよねw (小児科 土谷)