院長先生のブログ
COVID-19 小児編⑯
新型コロナウイルス感染症に関わる小児急性脳症患児103例の臨床像に関する報告(Front. Neurosci., 27 February 2023 Sec. Translational Neuroscience)です。
Frontiers | Severe pediatric acute encephalopathy syndromes related to SARS-CoV-2 (frontiersin.org)
東京女子医科大学のプレスリリースにも出ていますので、ご参照ください。
ピックアップ – 東京女子医科大学 (twmu.ac.jp)
厚生労働科学研究・難治性疾患政策研究事業「小児急性脳症の早期診断・最適治療・ガイドライン策定に向けた体制整備研究班」の事業として実施された研究です。調査方法は日本小児神経学会会員を対象としたWebアンケートを用い、2022年6月から11月までのBA.5系統流行期にSARS-CoV-2関連脳症を発症した18歳未満の患者さんを対象に、年齢・性別・臨床症状について調査しました。
既存の調査結果(2022年1月から5月、BA.1/BA.2系統流行期)も合わせて、SARS-CoV-2関連脳症の臨床症状を比較し特徴をまとめました。
その結果、小児の新型コロナ感染者が増えるにつれて急性脳症が増加し、これまでに103例の報告があったことが分かりました。
急性脳症症候群のタイプとしてはけいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)が最も多く全体の26.2%を占め、極めて重篤な脳症が13.6%を占め、過去のウイルス関連脳症に比べて高頻度だったこと、25%以上の患者が重篤な神経学的後遺症または死亡という転帰をとったことが分かりました。
SARS-CoV-2関連脳症患者103人中、95人が新型コロナウイルスワクチンを接種していなかったことが分かりました。そのうち、劇症脳浮腫型脳症(AFCE)および出血性ショック脳症症候群(HSES)の患者さんは全て新型コロナウイルスワクチンを接種していませんでした。
新型コロナウイルス感染症による小児の急性脳症例は国内でも複数報告されています。
罹患するより、感染予防に力を注いで欲しいと思いますw (小児科 土谷)