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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

牛乳アレルギー

6歳の時点で牛乳アレルギー(CMA)が持続している小児を12歳になるまで後ろ向きに調査し、牛乳への耐性を獲得する割合について調べた論文(Pediatric allergy and immunology : official publication of the European Society of Pediatric Allergy and Immunology. 2023 Dec;34(12);e14064.)を紹介します。

Natural history of cow’s milk allergy in children aged 6–12 years – Kubota – 2023 – Pediatric Allergy and Immunology – Wiley Online Library

国立病院機構相模原病院小児科の研究グループによる論文です。

対象は、6歳の時点でCMAが持続して見られた小児80人(男児69%)です。38%(30人)は牛乳によるアナフィラキシーの既往があり、50%(40人)は食事から牛乳を完全に除去していました。6歳時点の牛乳特異的IgE抗体価(CM-sIgE)の中央値は12.0kUA/Lでした。なお、経口免疫療法を受けた児は解析から除外しました。耐性獲得は、非加熱牛乳200mLの食物経口負荷試験結果が陰性だった場合、または、アレルギー症状を呈することなく非加熱牛乳200mLを家庭で摂取可能な場合と定義し、どちらの基準も満たさない場合をCMA持続と判定しました。主要評価項目は12歳までの牛乳に対する耐性獲得とし、CMA持続の危険因子についても評価しました。

 

その結果、9歳までに25人(31%)が、12歳までに58%(46人)が耐性を獲得していました。

多変量Cox回帰分析から、CMAが持続する危険因子として、ベースライン時(6歳時点)のCM-sIgE高値(調整ハザード比2.29、95%信頼区間1.41~3.73、至適カットオフ値は12.7kUA/L)、牛乳によるアナフィラキシーの既往(同2.07、1.06~4.02)および牛乳の完全除去(同3.12、1.46~6.67)の3つが判明しました。これらの危険因子をいずれも保有しなかった児の86%が12歳までに耐性を獲得したのに対し、危険因子を全て保有する14人のうち耐性を獲得した児はいませんでした。

 

以上から、IgE依存性即時型CMAの自然経過を検討した結果、6歳までCMAが持続していた児は、経口免疫療法を受けた子どもを除くと12歳までに58%が耐性を獲得することが分かりました。さらに、CMAが持続する3つの危険因子も判明しました。 (小児科 土谷)

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