院長先生のブログ
long COVIDの病態 -その他⑱-
![](https://mitsukecc.com/wp/wp-content/uploads/2024/02/78692eb8438a92f7e11a516981ad7fad-1200x675.jpg)
Long COVIDの機序のひとつとして持続感染説が指摘されていますが、その有病率やウイルスの動態については未だ分かっていないことも多いのが現状です。今回はそれに関連した論文(Nature (2024). 21 Feb, 2024 (doi.org/10.1038/s41586-024-07029-4))を紹介します。
Prevalence of persistent SARS-CoV-2 in a large community surveillance study | Nature
SARS-CoV-2 RNAが少なくとも30日間持続して検出される381人を同定したところ、うち54人は少なくとも60日間ウイルスRNAが認められ、ウイルス複製が継続していることが示唆されました。
持続感染者は非持続感染者に比べてlong COVIDを訴える頻度が50%以上高かったことが分かりました。著者らは0.1〜0.5%の感染者が持続感染となり、少なくとも60日間持続すると推定しています。
一般集団では絶滅したウイルス株に感染したままの人がいたことも分かりました。対照的に同じ変異株に再感染することは非常にまれでした。
また、65人は3回以上のPCR検査を受けていましたが、その大部分(82%)はウイルス量の動態が高値、低値、また高値とリバウンドしており、ウイルスが長期間の感染でも活発に複製する能力を維持していることが示唆されました。
long COVIDの臨床像が徐々に明らかにされてきています。持続感染を呈する頻度は0.1〜0.5%のようですね。 (小児科 土谷)