院長先生のブログ
小児期の肥満は成人期の虚血性心疾患リスクを増加させる
昨日が肥満ネタだったので、今日は小児の肥満ネタです。
小児期の肥満が成人期の虚血性心疾患(CHD)に及ぼす長期的影響について調べた論文(N Engl J Med
. 2007 Dec 6;357(23):2329-37. )を紹介します。古めの論文ですいませんw
Childhood Body-Mass Index and the Risk of Coronary Heart Disease in Adulthood – PMC (nih.gov)
小児期(7~13歳)の肥満度指数(BMI)と成人期(25歳以上)のCHDとの関連を、出生時体重で補正した場合としない場合とについて調査しました。
対象は、出生児の身長および体重データが入手できたデンマークの小児276,835例で、CHDイベントは全国登録データとの照合によって確認し、コックス回帰分析によって解析されました。
506万3,622人のフォローアップ期間中、小児期のBMIデータが入手できた男性10,235例と女性4,318例は、成人してからCHDの診断を受けたか、CHDで死亡していました。
成人期のCHDイベントのリスクは、非致死的イベント、致死的イベントにかかわらず、男児は7~13歳、女児は10~13歳時のBMIと正の相関を示しました。関連は各年齢層において線形を示し、リスクはBMIの分布全体で増大しており、リスクは小児の年齢が上がるほど増大していました。出生時体重で補正しても同様でした。
以上から、小児期の肥満(高BMI)は成人期のCHDリスクの増加と関連していると考えられました。この関連性は女児より男児で強く、男女とも加齢に伴い増大する傾向がありました。
「小児肥満が増える→将来的に虚血性心疾患(CHD)リスクを持つ成人が増える」ということなので、子どもの肥満には気をつけましょうねw (小児科 土谷)