経膣分娩と帝王切開、分娩形式によって出生児の抗体獲得率に差が出るのでしょうか?

麻疹ワクチンで検証した論文があるので、紹介します(Nature microbiology. 2024 May 13; doi: 10.1038/s41564-024-01694-x.)。

Dynamics of measles immunity from birth and following vaccination | Nature Microbiology

 

中国の母親と新生児から成るコホートと小児コホートの2つのコホートから抽出された0歳から12歳の小児1,505人の血清学的データと実証モデルを用いて、出生後の抗体の推移を調べました。これらの対象者は、ベースライン時とその後6回の追跡調査時(新生児コホートでは生後2・4・6・12・24・36カ月時、小児コホートでは2013〜2016年の間にほぼ6カ月おき)に静脈血を採取されました。

 

その結果、経膣分娩で生まれた児と比べて、帝王切開で生まれた児では初回の麻疹ワクチン接種がワクチン効果不全になるオッズが2.56倍で、初回接種後にワクチン効果不全が確認された児の割合は、帝王切開で生まれた児で12%(16/133人)であったのに対し、経膣分娩で生まれた児では5%(10/217人)でした。初回接種後にワクチン効果不全が確認された児でも、2回目の接種後には強固な免疫反応が認められました。

 

以上から、分娩方法の違いが感染症(今回は麻疹)に対する免疫力に長期的な影響を及ぼすことが分かりました。

 

日本の場合、麻疹の予防接種は定期接種化されていますが、稀に全く予防接種を全く受けていないお子さんを見かけます。

1歳の誕生日プレゼントとして麻疹ワクチンを。そして、2回目のワクチン接種をお忘れ無くw (小児科 土谷)