一般外来でもよく使用される抗菌薬のセフトリアキソン(CTRX)とプロトンポンプ阻害薬(PPI)のランソプラゾール(LPZ)の2剤を併用することを避けたほうが良いということは以前ブログでふれました。

セフトリアキソンとランソプラゾール – みつけこどもクリニック

 

では、日本人でもこのリスクは同様なのでしょうか( The Journal of infection. 2024 Jun 17;89(2);106202. doi: 10.1016/j.jinf.2024.106202.)。

Concomitant use of lansoprazole and ceftriaxone is associated with an increased risk of ventricular arrhythmias and cardiac arrest in a large Japanese hospital database – Journal of Infection

 

JMDCが構築した日本の医療機関データベースを用いて、2014年4月〜2022年8月の期間に登録されたデータを解析しました。対象は、CTRXまたはスルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)とプロトンポンプ阻害薬(PPI)を併用する20歳超~100歳未満の患者10万5,301例としました。主要評価項目は、心室性不整脈・心停止の発生率でした。

 

その結果、CTRXを投与された患者5万5,437例およびSBT/ABPCを投与された4万9,864例が抽出されました(対象患者の年齢中央値は81歳;四分位範囲:72~88)。


心室性不整脈・心停止は、CTRXを投与された患者187例(0.34%)、SBT/ABPCを投与された患者82例(0.16%)に認められました。


PPIを経口投与された患者集団において、CTRX+ランソプラゾール群はSBT/ABPC+ランソプラゾール群と比較して、心室性不整脈・心停止のリスクが有意に高かった(ハザード比[HR]:2.92、95%信頼区間[CI]:1.99~4.29、p<0.01)ことが分かりました。


一方、CTRX+その他のPPI(ラベプラゾール、エソメプラゾール、オメプラゾールのいずれか)群はSBT/ABPC+ランソプラゾール群と比較して、心室性不整脈・心停止のリスクが有意に低かった(HR:0.48、95%CI:0.27~0.88、p=0.02)ことが分かりました。


PPIを静脈内投与された患者集団では、CTRX+ランソプラゾール群(HR:4.57、95%CI:1.24~16.8、p=0.02)およびCTRX+オメプラゾール群(HR:4.47、95%CI:1.44~13.9、p=0.01)が、SBT/ABPC+ランソプラゾール群と比較して心室性不整脈・心停止のリスクが高かったことが分かりました。

以上から、日本人においても、CTRXとランソプラゾールの併用は、心室性不整脈や心停止のリスクを上昇させる可能性があることが分かりました。外来などでCTRXを使用する際は注意しましょう。 (小児科 土谷)