院長先生のブログ
オリンピック選手(陸上)のパフォーマンスのピークは何歳なのか?
パリ五輪もいよいよ終盤です。
折角のオリンピックイヤーということで、オリンピック関連の話題にします(Significance, Volume 21, Issue 3, July 2024, Pages 6–9, https://doi.org/10.1093/jrssig/qmae038)。
Peaks and primes: Do athletes get one shot at glory? | Significance | Oxford Academic (oup.com)
World Athleticsから、1996年のアトランタオリンピックから2020年の東京オリンピックまでの7大会分の陸上競技データを入手し、各選手のキャリアアップ(アスリートの競技人生における年ごとのトップパフォーマンス)に関するデータと組み合わせて分析しました。
分析の際、性別、国籍、イベントの種類、オリンピックイヤーであるか否か、およびトレーニング年齢(アスリートがWorld Athletics公認の大会に参加し、記録を残した年数)を考慮しました。
解析の結果、過去30年間を通してオリンピックの陸上選手の平均年齢は、男女ともに一貫して26.9歳であったことが明らかになりました(年齢中央値は、女性27歳、男性26歳)。そして、陸上選手のパフォーマンスがピークを迎える年齢の中央値も27歳でした。また、27歳を超えると、それ以降にピークを迎える可能性は44%に過ぎず、その可能性は年を追うごとに低下していくことが分かりました。
一方で、アスリートのパフォーマンスのピークに影響を与える因子は年齢だけでなく、次のオリンピックの出場権を争っている年に「より良いパフォーマンス」を発揮する傾向があることが示されました(オリンピックイヤーであるということはアスリートのパフォーマンスの予測に役立つ)。
今回は陸上に関するデータだけでしたが、オリンピックを目指すことがいかに大変なことであるか、そして選手達が輝ける期間は本当に短いということが分かりました。
選手達にとって、オリンピックは本当に「一生に一度の貴重な機会」と言えます。
彼らが最高のパフォーマンスを出せるよう、遠く日本から心より応援しております。 (小児科 土谷)