ご存じの通り、気候変動によって短期的な降雨現象(いわゆるゲリラ豪雨)の頻度と深刻さが増しています。
今回は降雨に関連して、降雨強度の変化が健康にどのような影響を与えるか調べた研究( BMJ (Clinical research ed.). 2024 Oct 09;387;e080944.)を紹介します。
Multi-Country Multi-City(MCC)Collaborative Research Networkのデータベースから、1980~2020年の34ヵ国または地域の645ヵ所における、外因を除く死亡(ICD-10:A00-R99、ICD-9:001-799)または全死因死亡、ならびに心血管系の疾患(I00-I99、390-459)と呼吸器系の疾患(J00-J99、460-519)の特定のデータを入手するとともに、欧州中期予報センターによる第5世代再解析データセットの陸地成分(ERA5-Land)から同期間と地点における1時間単位の地表降水データを入手しました。
主要アウトカムは、1日当たりの死亡率と、再現期間(ある規模の極端な事象が平均して何年に1回発生するかを表した値)が1年、2年、5年における降雨事象との関連(降雨後14日間の累積相対リスク)で、連続的な相対強度指数を使用して強度応答曲線を作成し、世界規模での死亡リスクを推定しました。
解析対象は、全死因死亡1億995万4,744例、心血管系疾患3,116万4,161例、呼吸器系疾患1,181万7,278例で、調査期間中、再現期間1年の降雨事象は計5万913件、再現期間2年の降雨事象は8,362件、再現期間5年の降雨事象は3,301件確認されました。
再現期間5年の異常降雨は、1日の全死因死亡率、心血管系疾患死亡率および呼吸器系疾患死亡率の上昇と有意に関連しており、降雨後14日間にわたる累積相対リスクは、それぞれ1.08(95%信頼区間[CI]:1.05~1.11)、1.05(1.02~1.08)、1.29(1.19~1.39)でした。

再現期間2年の降雨事象は、呼吸器系疾患死亡率のみと関連していましたが、再現期間1年の降雨事象については有意な関連は確認されませんでした。
非線形解析により、中~大雨の事象では保護効果(相対リスク<1)がみられ、きわめて強い降雨事象では悪影響(相対リスク>1)に変化することが示されました。
さらに、異常降雨事象による死亡リスクは、気候のタイプ、ベースライン降雨量の変動性および植生被覆によって変化すると思われますが、人口密度と所得水準の緩和効果は有意ではありませんでした。ベースライン降雨量の変動が小さい地点や植生被覆の低い地点では、リスクが高いことが示されました。
以上から、日降雨量の強度はさまざまな健康に影響を及ぼしており、異常降雨は全死因死亡、心血管系疾患および呼吸器系疾患による死亡の相対リスク上昇と関連していたことが分かりました。
解析対象地点に中南米とアフリカが少なかったなどの研究の限界はありますが、異常気象(雨)と健康の関係は面白いです。おだやかな日々が続いてくれることを願いますw (小児科 土谷)


