論文を執筆する際、引用したエビデンスを「最近」と表現することが多いですが、本当に最近なんでしょうか?( BMJ (Clinical research ed.). 2025 Dec 11;391;e086941. pii: e086941.)
How recent is recent? Retrospective analysis of suspiciously timeless citations | The BMJ
生物医学論文と、その論文で「最近」との記述で引用される過去の研究との時間的な隔たりを定量化する目的で、後ろ向き研究を実施しました。
事前に定義した20の「最近」表現(recent article、recent evidence、recent literature、recent research、recent studyなど)に基づき、構造化PubMed検索を行いました。
「最近の」という表現が、直接的に引用と結び付いている英語の生物医学論文(全文掲載)1,000編を解析の対象とし、これらの論文と、その参照先である「最近の」研究との時間的な隔たりを年単位で評価しました。
引用された「最近の」研究の発表年代は大きく異なっており、研究の発表から引用までの時間差は、0年から最長で37年に及んでいました(平均5.53年、中央値4年[四分位範囲:2~7])。最も多かった時間差は1年(159編[15.9%])で、「最近」として、10年以上前の研究を引用した論文が177編(17.7%)あり、20年以上前の研究を引用した論文が26編(2.6%)ありました。
引用パターンは専門分野によって異なっており、集中治療学、感染症学、遺伝学、免疫学、放射線医学では、発表から引用までの時間差(中央値)の幅が小さかった(約2年)ことが分かりました。一方、腎臓学、獣医学、歯学では、この時間差の幅がかなり大きかった(8.5~14年)ことが分かりました。
表現別では、「最近のアプローチ(recent approach)」「最近の発見(recent discovery)」「最近の研究(recent study)」は古い研究と関連し、「最近の出版物(recent publication)」「最近の記事(recent article)」はより新しい研究の引用との結び付きが強かったことが分かりました。また、引用までの時間差の長さは地域間で類似しており、時間の経過とともに徐々に短くなり、最新の出版物で最も短かったことが分かりました。さらに、インパクトファクター(IF)が高い(≧12)ジャーナルほど、より新しい研究を引用していました。
以上から、「最近の」引用文献はその発表と引用の時期に中央値で4年のずれがあり、ほぼ5編に1編の割合で発表が引用の時期より10年以上古く、「最近の」はきわめて弾力性に富む表現として使用されていることが分かりました。
『最近の』といっても、実際の時間差に要注意ですが、こういう所に注意して読んでみるのも、意外と退屈しないで面白いかもしれませんw (小児科 土谷)

