成人のRSV感染はまれではなく、高齢者や基礎疾患がある患者では死亡率の増加にも関連することが知られています。

今回は、成人のRSV感染患者の心血管系にどのような影響が見られるか検討した研究を紹介します(JAMA Netw Open. 2025 Dec 1;8(12):e2547618. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2025.47618.)。

Cardiovascular Events 1 Year After Respiratory Syncytial Virus Infection in Adults – PMC

 

2019年1月1日から2024年12月31日までに、PCR検査でRSV感染症と確認された45歳以上の成人を選び出しました。次に、年齢、性別、併存疾患(喘息、自己免疫疾患、心血管疾患、慢性呼吸器疾患、糖尿病、腎臓病、癌、リウマチ性疾患または炎症性疾患、その他)をマッチングさせたRSV感染歴のない人を1対1の割合で選び出し、両群の心血管リスクに差があるかを調べました。比較のために、インフルエンザ感染、股関節骨折、敗血症のない尿路感染症の診断を受けた患者と、条件をマッチさせたそれらの診断歴がない人の集団でも心血管リスクを調べました。主要評価項目は、検査で陽性日から365日後までの主要心血管イベント(MACE)と、あらゆる心血管イベントに設定し、30日時点と365日時点の累積発生率に基づく絶対リスク差を推定しました。

 

条件がマッチした1万7494人(平均年齢は71.8歳[標準偏差12.0]、女性が57.6%)を分析対象にしました。11.5%が何らかの心血管疾患の既往歴を有しており、RSV感染症患者の69.1%が陽性判定後に入院していました。

 

365日時点で、RSV感染者8747人に発生したあらゆる心血管イベントは665件で、非感染者8747人では257件で、リスク差は4.69パーセンテージポイント(95%信頼区間4.02-5.36)になりました。MACEはそれぞれ355件と150件発生しており、リスク差は2.37パーセンテージポイント(1.86-2.88)でした。同様に、30日時点のあらゆる心血管イベントのリスク差は3.82パーセンテージポイント(3.37-4.26)、MACEのリスク差は1.64パーセンテージポイント(1.33-1.95)でした。

 

RSV感染により入院した患者では、365日時点のあらゆる心血管イベントとMACEのリスク差はいずれも有意でしたが、入院しなかった患者では有意差は見られませんでした。入院患者以外で、365日時点のあらゆる心血管イベントのリスク差が有意になったのは、高齢者、心血管疾患歴のある患者、糖尿病患者でした。MACEのリスク差についても同様でした。

 

他疾患との比較では、RSV感染陽性者8823人とインフルエンザ感染陽性となった8823人をマッチさせて比較したところ、あらゆる心血管イベントおよびMACEの累積発生率に有意差は認められませんでした。一方、股関節骨折や敗血症のない尿路感染症の初回診断を受けた患者とマッチングを行い比較したところ、追跡期間のあらゆる心血管イベントとMACEの累積発生率は、RSV感染者の方が有意に少なかったことが分かりました。

 

以上からRSウイルス(RSV)に感染した45歳以上の成人患者が1年後までに心血管イベントを起こすリスクを、RSV感染歴のない人と比較するコホート研究を行ったところ、RSVでもインフルエンザと同程度に心血管イベントリスク増加が見られることが分かりました。

 

RSV感染症は罹患すると成人でもツラい・・・高齢者、心血管疾患歴のある患者、基礎疾患を有している方は要注意です。

高齢者にはワクチン接種という選択肢もあるので、是非ご検討ください。 (小児科 土谷)