小児科領域では一般的な感染症であるRSV感染症ですが、近年、高齢者や基礎疾患を持つ人を中心に、成人においても重篤な下気道感染症や合併症を引き起こすことが知られています。

そこで今回は、成人ですが、RSウイルス(RSV)とインフルエンザウイルスの臨床的特徴や予後への影響を比較した研究を紹介します( International journal of infectious diseases : IJID : official publication of the International Society for Infectious Diseases. 2026 Jan 09;108381. doi: 10.1016/j.ijid.2026.108381.)。

Clinical Characteristics and Prognostic Differences Between RSV and Influenza A Virus Infections in Hospitalized Adult Patients – International Journal of Infectious Diseases

 

本研究は中日友好病院において、呼吸器疾患の流行期(2023年11月1日~2024年1月30日)に実施されました。検査でRSVまたはインフルエンザA型の感染が確認され、入院した全成人患者を対象としました。RSV群、インフルエンザ群、両ウイルスの重複感染群の3群に分類し、臨床的特徴、併存疾患、治療法、合併症、転帰などを比較しました。

 

その結果、対象患者538例の内訳は、RSV群162例(30.1%)、インフルエンザ群355例(66.0%)、重複感染群21例(3.9%)でした。重複感染群は最も高齢(中央値72歳)で喫煙者の割合が著しく高く(90.5%)、低酸素血症(71.4%)や呼吸困難(76.2%)を呈する頻度が高かったことが分かりました。


RSV群では痰を伴う咳の頻度が高く(62.3%)、インフルエンザ群は発熱(64.8%)および筋肉痛(14.6%)の頻度が高かったことが分かりました。抗ウイルス療法の実施率はRSV群で最も低く(24.1%)、抗ウイルス療法の実施率が最も高いインフルエンザ群において、合併症発症が最も多かった(99.2%)ことが分かりました。
また、人工呼吸器の使用率は重複感染群で最も高かった(42.9%)ものの、全死亡率およびICU入院率では3群間で差を認めませんでした。RSV群の多変量解析では、喫煙(調整済みオッズ比[aOR]:2.61)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(aOR:2.99)、慢性心不全(aOR:3.71)、肺炎(aOR:3.14)が独立した予後不良因子でした。

 

以上から、RSVおよびインフルエンザウイルス感染症は合併症の負担が大きいという共通点はあるものの、臨床的特徴はそれぞれ異なっていることが分かりました。COPD、心不全、肺炎を伴うRSV患者はよりリスクが高く、重複感染は人工呼吸器使用頻度の増加など、重症度をさらに深刻化させることが分かりました。

 

乳児のRSV感染症も厄介ですが、成人、 特にリスク因子を抱える成人にとってもRSV感染症は厄介者のようです。

世代を問わず、流行期には気を付けましょう。 (小児科 土谷)