昭和48年(1973年)5月の学校保健法施行令、施行規則の改正によて、尿検査が学校での健康診断の一環として義務づけられ、翌1974年の4月から全国で一斉に始められました。この背景には、当時1年間に50日以上学校を欠席している「長期欠席者」の原因疾患として、腎臓病、心疾患、気管支喘息が多かったことがあります。
現在、小児腎臓病の治療法や管理法が進歩して、子どもの時期に尿検査を行うことが腎臓病の予防と悪化防止に非常に役立つことがわかっており、日本の学校検尿はさまざまの面で効果を上げていることから、世界でも注目されています。
学校検尿で何が分かるのか?
前述したとおり、学校検尿の目的は「慢性糸球体腎炎や慢性腎臓病の早期発見」です。
学校検尿の導入により、かつて小児末期腎不全の原因疾患の約半数を占めていた慢性糸球体腎炎が、末期腎不全に進行する頻度は激減しています。また、小児糖尿病の早期発見にも貢献しています。
慢性腎臓病は、病状が進行するまで自覚症状が現れにくく、発見時にはすでに腎機能の回復が難しい場合が少なくありません。そのため、学校検尿で異常を指摘された場合は、自覚症状の有無にかかわらず、医療機関で再検査や精密検査を受けて、早期診断・早期介入することが大切です。
学校検尿で指摘される検査項目とそこから想定される疾患は?
血尿のみ指摘された場合
小児血尿単独例の大半(60~80%)は予後良好な無症候性血尿や良性家族性血尿であり、腎生検を必要としません。しかし、稀に慢性糸球体腎炎の初期症状であることもあるため、血尿単独の場合でも蛋白尿が出現しないか、定期的に尿検査を行い、経過観察を続ける必要があります。
また、腎・尿路結石や、稀に腎尿路の腫瘍が血尿の原因である場合もあるため、臨床経過に応じて超音波検査による評価が推奨されます。
当院では、無症候性血尿の定期的な経過観察が可能です。経過観察中に蛋白尿を伴う場合など、専門的な治療が必要と判断される際は、小児腎臓病専門施設に紹介させて頂きます。
蛋白尿のみ指摘された場合
蛋白尿単独の場合、その多くは起立性蛋白尿や体位性蛋白尿、濃縮尿などによる生理的な蛋白尿であるため、特別な管理は不要です。
その一方、稀にネフローゼ症候群や腎尿路の異常、Dent病(尿細管の異常)など、治療を要する疾患が発見されることがあります。
血尿と蛋白尿の両方が認められる場合
血尿と蛋白尿がいずれも続く場合は、IgA腎症などの慢性糸球体腎炎の可能性が高まります。
診断には腎生検が必要となるため、小児腎臓病専門施設に紹介させて頂きます。
白血球尿が認められた場合
白血球尿は、尿道炎、膀胱炎、腎盂腎炎、(女児では)外陰炎などが原因で起こります。
ちなみに、これらの疾患は通常は他の自覚症状、例えば、尿道炎では排尿時痛、膀胱炎では頻尿や残尿感、排尿時痛、腎盂腎炎では発熱、悪寒、背部痛などが認められるため、これらの症状が認められたら速やかに医療機関を受診しましょう。
糖尿が認められた場合
尿糖が検出される原因には、小児の糖尿病があります。
その他、治療を必要としない腎性糖尿や尿細管機能の異常によることがあります。
検尿異常で当院を受診する際、保護者の方にお願いしたいこと
正確な評価をするためには、起立性蛋白尿が生じないように採尿する必要があります。受診前日は、必ず就寝直前に排尿し、受診当日は起床直後の尿(早朝第一尿)を採取して持参してください。生理中であれば10日〜2週間程度間隔を空けて下さい。
早朝第一尿を採取する容器は、事前に当院へ取りに来ていただくか、あるいは紙コップに尿を半分ほど採取し、ラップなどでこぼれないようにして当院へお持ちください。
また、初診時に両親の無償厚生血尿の有無、慢性腎炎・腎不全、透析の有無、難聴を伴う腎炎、高血圧、糖尿病などの家族歴や肉眼的血尿、高血圧、腎疾患、IgA血管炎、尿路感染症、膠原病、幼少時の不明熱の繰り返しの有無といった本人の既往歴をお伺いします。受診日までにご確認ください。


