院長先生のブログ
long COVIDには1年以内に消失する症状と消失しない症状がある
long COVIDの症状はどれくらい持続するのか?
流石にこれだけ感染の波を繰り返しているので、不幸にして感染後の後遺症に悩まされている患者さんも数多くいると思います。そんな方々は「この症状がずっと続くのか?」と不安になるかと思います。そこで今日はこのテーマの論文(BMJ 2023;380:e072529(Jan 11, 2023))を読んでみました。
軽症COVID-19患者における1年後の後遺症(long COVID)を後方視的に検討した論文です。2020年3月~2021年10月の間にPCR検査を行った191万3234人を対象とし、リスクは感染後初期(30~180日)および後期(180~360日)で検討しています。
持続した症状
*嗅覚障害・味覚障害(ハザード比 早期4.59,後期2.96)
*認知障害(1.85,1.69)
*呼吸困難(1.79,1.30)
*筋力低下(1.78,1.30)
*動悸(1.49,1.16)
男女差はごくわずかで、小児は後期にはベースラインに戻っていました。これらの所見はウイルス株が変わっても一貫していたみたいです。
軽症感染後に認める後遺症のうち脱毛、胸痛、咳、筋痛、呼吸器障害は1年以内に消失するようですが、嗅覚障害・味覚障害や認知障害は1年以上持続することあるみたいです。流し読みながら思ったことは、「自分としては、味覚障害が続くのは勘弁して欲しい」でした。せっかくご飯の美味しい新潟に住んでいるのに、味がしないなんて悲しすぎる。。(小児科 土谷)