院長先生のブログ
COVID-19 小児編⑧

COVID-19感染後6カ月間の痙攣発作やてんかんとの関連について検討した英国からの論文(Neurology. 2022 Nov 16:10.1212/WNL.0000000000201595.)を紹介します。
8100万人の電子健康記録ネットワークを用いて、COVID-19感染者とインフルエンザ感染者をマッチングさせています。それぞれ15万2754人の患者からなる2つのコホートが得られました。
その結果、COVID-19群はインフルエンザ群と比較して、痙攣発作やてんかんのリスクが上昇していたことが分かりました。COVID-19の6カ月以内の痙攣発作の発生率は0.81%(インフルエンザとの比較でハザード比:HR 1.55)で、てんかんの発症率は0.30%(同1.87)でした。
COVID-19後のてんかん発症率は、インフルエンザ群に比べて、入院歴がない人、16歳以下で高いことが分かりました。ピークとなるHRの時期は年齢や入院の有無によって異なっていました(16歳以下で感染後50日,17歳以上で21日.非入院で41日,入院で9日)。
以上から、COVID-19罹患後6カ月間の新規の痙攣発作/てんかんの発生率は、高頻度ではないものの、インフルエンザ群より高いことが分かりました。この差は入院していない人で顕著であるため、感染が軽症であっても、てんかんや痙攣発作のリスクがあることを認識しなければなりません。
COVID-19後に発症するけいれん発作・てんかんは(インフルエンザと比べても)非入院患者や小児で多いようです。 (小児科 土谷)