COVID-19入院患者における神経筋合併症の有病率・合併症を明らかにし、成人と小児の違いを確認することを目的とした多施設国際研究（Brain. 2022 Sep 10:awac332.（doi.org/10.1093/brain/awac332）
）を紹介します。

2020年1月30日～2021年5月25日まで、世界1507施設のコホートを用いて前向き観察研究を実施しました。研究対象はCOVID-19で入院し、神経筋症状および合併症について評価された成人15万8267人、小児2972人です。

その結果、成人および小児で、最も頻度の高かったものは、疲労（成人：37.4％，小児：20.4％）、意識障害（20.9％，6.8％）、筋痛（16.9％，7.6％）、味覚障害（7.4％，1.9％），嗅覚障害（6.0％，2.2％）、痙攣（1.1％，5.2％）でした。成人の場合、最も頻度の高い院内神経筋合併症は脳卒中（1.5%）、痙攣発作（1%）、中枢神経感染症（0.2%）で、小児では痙攣発作は ICU 入室例で高頻度に認められました（7.1% 対 2.3%，P＜0.001）。

特徴的所見は、脳卒中の有病率は年齢が上がるにつれて増加し、中枢神経感染症とけいれん発作は減少したことです。意識障害は中枢神経感染症、けいれん発作、脳卒中と関連していました。すべての院内神経筋合併症は死亡のオッズの上昇と関連しており、死亡の可能性は年齢が上がるにつれて上昇し、25歳以降で顕著でした。

以上から、成人の急性期神経筋合併症は脳卒中が多く、小児では中枢神経感染症と痙攣発作が多いということが分かりました。成人と小児の違いを覚えておきましょう。　（小児科　土谷）