院長先生のブログ
COVID-19 小児編⑩
新型コロナmRNAワクチン接種が4才以下の子どもたちに有効であるのか、ワクチン接種によって感染者数・入院数をどれだけ抑えることが出来たの調べたシンガポールからの論文(JAMA Pediatr. 2023 Oct 16:e234505. )を紹介します。
集団ベースのコホート研究で、2022年10月1日~2023年3月31日までの6ヵ月間(オミクロンXBB亜種が優勢)、1歳から4歳までのすべての小児を対象に実施されました。調査人数は121 628人(平均3.1才、男50.9%)で、大半の小児(96.5%)がModerna社のmRNAワクチンを接種しました。
結果は表のとおり。
これまでにコロナに感染していなかった小児ではワクチンの2回以上接種で明らかにXBB株による感染も入院も抑えられていました(入院者はワクチン未接種者は121人、2回接種者では0人、感染者はワクチンに接種者では3,261人、2回接種者では21人なので、いずれも大きく下がっている)。
新型コロナに感染した経験のある小児においても、XBBによる入院も感染も明らかに抑えられていました。
以上から、1~4才児に対する新型コロナワクチンはXBB株であっても感染予防効果、入院予防効果とともに認められることが分かりました(小児だから効かないということはない)。
ワクチン接種の有効性がデータ的にきちんと示されているにも関わらず、小児の新型コロナワクチンの接種率が上がらなかったのは、こういう情報をきちんとお茶の間に届けることが出来なかったせいかもしれませんね。。反省。。(小児科 土谷)