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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

昨日も便は出たのに、便秘症なんですか?

「昨日も便は出たのに、便秘症なんですか?」

腹痛で受診されるお子さんの保護者の方々から寄せられることの多い質問です。

今朝はこの疑問について簡単に説明したいと思います。

慢性便秘症についてのRome分類の定義には「排便回数が週に3回未満であること」という基準があるため、3か月以上持続する排便困難感に対してはこの定義は有用ですが、急激に発症する腹痛に関しては適応外です。では、便秘症を除外するために有用な排便頻度のカットオフ値はいくつでしょうか(Am J Emerg Med. 2010 Feb;28(2):189-94. )?

Incidence, clinical presentation, and management of constipation in a pediatric ED – ScienceDirect

 

イタリアの小児病院・救急外来における1年間の病院カルテを用いた後方視的研究で、1年間に機能性便秘症と診断された15歳未満の小児(202人)を対象としました。

救急外来受診者数に占める機能性便秘症の発生率は0.4%で、4歳以下の患者が4歳以上の患者数よりも多かったことが分かりました(P < 0.0001)。また、機能性便秘症の患者では、排便回数が1日3回以下、急性腹痛、便閉が他症状よりも有意に多く認められました(P < 0.0001)。

 

以上を踏まえると、便秘症を除外するために有用な排便回数のカットオフ値は1日4回以上ということになります。排便回数が1日4回以上・・・この排便頻度は、新生児・乳児や胃腸炎の下痢の時を除けば「稀なこと」だと思いますw

 

子どもの腹痛に際し、排便回数を確認しても便秘症の診断にはあまり役には立たないかもしれません。

「下痢でなければ、便秘症による腹痛は十分あり得ること」と思っておいた方が良いでしょう。 (小児科 土谷)

 

 

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