メニュー

   

お電話

見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

小児アトピー性皮膚炎と神経発達

小児のアトピー性皮膚炎(AD)と認知機能障害との関連を報告した論文( Allergology international : official journal of the Japanese Society of Allergology. 2023 Jan;72(1);116-127. )を紹介します。

Neurodevelopment at 6 years of age in children with atopic dermatitis – ScienceDirect

 

2008~12年に韓国で生まれた239万5,966例の小児を分析しました。すべてのデータは、韓国国民健康保険制度のデータベースから入手しました。ADは2歳(生後24ヵ月)までに5つ以上の診断基準を満たしたものと定義しました。アウトカムは、6歳時の韓国乳幼児発達スクリーニングテストの粗大運動能力、微細運動能力、認知、言語、社会性、セルフケア領域における神経発達障害の疑いとし、陽性対照アウトカムは注意欠陥多動性障害(ADHD)としました。

 

その結果、8万9,452例が対照群、3万557例がAD群に割り付けられました。

加重データでは、AD群は対照群に比べて、総スコア(加重調整オッズ比:1.10、95%信頼区間:1.05~1.16)、粗大運動能力(1.14、1.04~1.25)、微細運動能力(1.15、1.06~1.25)で神経発達障害の疑いリスクが高いことが明らかになりました。

また、治療にステロイド外用剤を要した群や入院した群で神経発達障害の疑いリスクの上昇が認められ、AD群ではADHDと同様に精神遅滞、心理的発達障害、行動・情緒障害と有意な関連性が認められました。

 

以上から、メカニズムは不明であるものの、2歳以前にADを発症した子どもは6歳時の発達スクリーニング検査における神経発達障害と有意な関連があることが分かりました。さらに、ADのある子どもは、ADHD、精神遅滞、心理的発達障害、行動・情緒障害などの神経発達障害のリスクが高いこともわかりました。

 

6歳時の結果だけで全体的な発達の転帰を判断することは難しい点、個々の子どもで発達速度はまちまちで、発達遅滞が疑われても最終的に正常な発達を示す子どもが多い点などが論文中で指摘されていましたが、2歳以前にアトピー性皮膚炎(AD)を発症した子どもを健診などで診る際は、こういう発達のポイントも留意しておいた方が良いということですね。(小児科 土谷)

 

 

 

この記事をシェアする