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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

アトピー性皮膚炎とIBD

「アトピー性皮膚炎の小児および成人は炎症性腸疾患(IBD)のリスクが高いのか」について調べた論文(JAMA dermatology. 2023 Oct 01;159(10);1085-1092. )を紹介します。

Risk of Inflammatory Bowel Disease in Patients With Atopic Dermatitis | Gastroenterology | JAMA Dermatology | JAMA Network

住民ベースのコホート研究を実施し、小児および成人のAD患者におけるIBD、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)の新規発症リスクを調べました。

AD患者1例に対し、背景因子をマッチングさせた対照を最大5例組み込み、AD重症度は治療の内容に基づき判断しましたAD患者および対照群の情報は、英国の電子医療記録データベースHealth Improvement Networkの1994年1月1日~2015年2月28日のデータから取得し、2020年1月8日~2023年6月30日にデータ解析を行いました。今回注目したアウトカムは、IBD、UC、CDの発症で、ロジスティック回帰法を用いて、ADの小児および成人と対照を比較して、それぞれの発症リスクを調べました。

 

(今回は小児に関する結果のみ示します)

その結果、小児コホートは小児AD患者40万9,431例(軽症93.2%、中等症5.5%、重症1.3%)と、背景因子をマッチングさせた小児対照180万9,029例から構成されました。年齢中央値は4~5歳(範囲:1~10歳)で、男児が多く(対照93万6,750例[51.8%]、軽症ADが19万6,996例[51.6%]、中等症ADが1万1,379例[50.7%]、重症ADが2,985例[56.1%])で、社会経済的状況は同様でした。

 

完全補正後モデルにおいて、小児AD患者はIBDリスクが44%高く(ハザード比[HR]:1.44、95%信頼区間[CI]:1.31~1.58)、CDのリスクは74%高く(同:1.74、1.54~1.97)、それらのリスクはADの重症度が高いほど増大していたことが分かりました。

その一方で、小児AD患者で、UCのリスク増大は認められませんでしたが(HR:1.09、95%CI:0.94~1.27)、重症AD例ではそのリスクが高い(同:1.65、1.02~2.67)ことが分かりました。

 

以上から、小児のアトピー性皮膚炎患者は、炎症性腸疾患(IBD)を発症するリスクが高いことが分かりました。ADに消化器症状が合併する患者に対して全身治療を行う際は、IBDを合併している可能性も考え、スクリーニングしなければなりません。

 

個人的には、ADの治療により良好なコントロールを維持できれば発症リスクを下げることが出来るのか、知りたいところですねw(小児科 土谷)

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