院長先生のブログ
ホスピタルクラウン
ホスピタルクラウンは入院中の小児患者などに対する遊びやコミュニケーションによる心のケアを行う専門家を指します。単純にクリニクラウンとも呼ばれます。
日本にも日本クリニクラウン協会があるので、都市部ではクリニクラウンが出入りしている病院もあると思います。
日本クリニクラウン協会 NPO CliniClowns Japan
今回はこのホスピタルクラウンに関する論文(Pediatrics. 2005; 116: e563-567.)で、彼らによる不安軽減効果を検証しています。
術前の小児が抱く不安を軽減するために、患児のもとにピエロがやってくるという研究デザインです。登録された患児は5歳から12歳までの40人で、基本的に親は付き添いでいるものとし、そこにピエロが介入する群(20人)と介入しない群(20人)にランダムに割り付けられました。付き添い人数を統一するために、親は両親のうちいずれか一方と定めました。患児の不安については修正Yale術前不安尺度を評価項目とし、親の不安については状態-特性不安検査(STAI Y-1/Y-2)を評価項目とし、ピエロによる不安軽減効果を検証しました。
その結果、非介入群と比較して、介入群は患児の不安症状が軽減されていました。
この不安の軽減は、麻酔の導入のときに有意に観察された(p < 0.001)一方、親が抱く不安については統計学的に有意には解消されませんでした(Y-1:p = 0.504、Y-2:p = 0.107)。
ちなみに本研究では、医療従事者にもアンケートも実施していますが、意外にも肯定的な意見と否定的な意見のいずれもが多いという結果でした。
以上から、ホスピタルクラウン(≒ピエロ)は入院中の子どもの不安を減少させることが示されました。
ホスピタルクラウンの子どもに対する不安の軽減効果は、同様の結果がドイツやイスラエルから報告されていることから確かなものなんでしょうねw もっと国内でも導入される病院が増えたら良いな~と思いました。 (小児科 土谷)