院長先生のブログ
小児の便秘④ 家族性はあるのか?

引き続いて便秘症に関する話題です。
外来で便秘のお子さんの問診をしていると、ご家族の方にも便秘の既往がある場合があります。
疑問に思ったので、家族性があるのか調べてみました。
112家族に対する前向き研究(J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2010 Mar;50(3):287-9.)では、便秘のある小児の両親や兄弟は、便秘の無い小児の両親や兄弟と比較して、便秘がある可能性が高い(それぞれ30% vs 7% and 42% vs 9%, P = 0.001)と報告されています。
以上から、遺伝的背景も大いにあると思われますが、きっとそれだけではなく、家族の食習慣や生活習慣、家庭環境も便秘を起こりやすくする要因になると考えられています。実際に運動不足になったり、食物繊維が少ない食事や水分不足になったりすると便秘の小児が増えるという報告(Turk J Gastroenterol. 2018 Sep;29(5):580-587.)もあるのです。
Do bad habits bring a double constipation risk? – PMC (nih.gov)
便秘で悩まされているご家族(子ども含む)では、遺伝的要因は治すことは出来ないので、先ずは食習慣、生活習慣、運動習慣を見直すことから始めてみては如何でしょうか。(小児科 土谷)