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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

10代の肥満は若年成人の腎臓病のリスクとなる

未成年の肥満がCKDのリスク因子となるのか調べた論文(JAMA pediatrics. 2024 Feb 01;178(2);142-150.)を紹介します。

Adolescent Body Mass Index and Early Chronic Kidney Disease in Young Adulthood | Chronic Kidney Disease | JAMA Pediatrics | JAMA Network

 

10代でのBMIと若年成人期(45歳未満)における初期のCKDとの関連について、イスラエルの医療データを用いて検討しました。解析対象は、1975年以降に生まれ、16~20歳時点でのBMIの記録と、徴兵検査時の腎機能関連データがそろっている59万3,660人(ベースラインの平均年齢17.2±0.5歳、男性54.5%)です。ベースライン時に腎臓病、アルブミン尿、高血圧、血糖異常の記録がある人は除外されました。肥満の有無と肥満の程度の判定は、米疾病対策センター(CDC)の基準に従い、年齢と性別が一致する集団でのパーセンタイルによって判定しました。早期CKDは、推定糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2以上で、中程度から重度のアルブミン尿が見られるステージ1~2のCKDと定義しました。

 

男性は13.4±5.5年、女性は13.4±5.6年の追跡で、1,963人(0.3%)が早期CKDを発症していました。

交絡因子を調整後、男性・女性ともに、BMIが正常高値のカテゴリーであっても、以下のように早期CKD発症ハザード比の有意な上昇が認められました。

男性では正常高値BMIで1.8(95%信頼区間1.5~2.2)、過体重で4.0(同3.3~5.0)、軽度肥満で6.7(5.4~8.4)、重度肥満で9.4(6.6~13.5)。

女性は正常高値BMIで1.4(1.2~1.6)、過体重で2.3(1.9~2.8)、軽度肥満で2.7(2.1~3.6)、重度肥満で4.3(2.8~6.5)。

なお、追跡期間中に糖尿病や高血圧を発症した人を除外した解析でも、結果は同様でした。

 

以上から、10代後半のBMIが高いことと、若年成人期の早期CKDとの有意な関連が認められました。肥満による早期CKDのリスクは、BMI高値以外のリスク因子がない、一見すると健康そうな人でも上昇し、かつ肥満度がより高い場合によりハイリスクになるという関連があることがわかりました。

 

10代の肥満は若年成人の腎臓病のリスクとなるようです。気をつけましょうw (小児科 土谷)

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