メニュー

   

お電話

見附市小児科 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

long COVIDの病態 -その他㉖-

コロナ後遺症(Long COVID)のある18~50歳の女性を対象とする日本の研究( Journal of psychosomatic obstetrics and gynaecology. 2024 Dec;45(1);2305899. )を紹介します。

Full article: Clinical characteristics of female long COVID patients with menstrual symptoms: a retrospective study from a Japanese outpatient clinic (tandfonline.com)

 

日本人の女性を対象として、コロナ後遺症としての月経異常の臨床的特徴を明らかにするために行われた研究です。

岡山大学病院のコロナ・アフターケア外来を2021年2月15日~2023年3月31日に受診した、コロナ後遺症の女性患者(18~50歳)を対象に行われました。コロナ後遺症の定義は、感染から4週間以上にわたり何らかの症状が持続している状態としました。患者の診療記録より、月経情報、健康関連QOL、抑うつ症状、ホルモン検査などの臨床データが解析されました。

 

研究対象の女性223人のうち、月経異常を訴える女性は44人(19.7%、年齢中央値42.5歳)で、月経異常のない女性(同38歳)よりも有意に年齢が高かったことが分かりました。44人中34人(77.3%)は、オミクロン株の流行期(2022年1月以降)に感染していました。月経異常の中で最も多い症状は月経周期の不順(63.6%)で、次いで月経痛の悪化(25%)、過多月経(20.5%)、更年期症状(18.2%)、月経前症候群(15.9%)などの症状が見られました。

 

また、月経異常のある女性では月経異常のない女性に比べて、倦怠感(75対58.1%)や抑うつ気分(9.1対1.1%)を伴う人の割合が有意に高かったことが分かりました。さらに、健康関連QOLの評価指標(FASおよびEQ-5D-5L)による評価では、月経異常のある女性の方が、倦怠感やQOLが有意に悪化していました。

ホルモン検査では、月経異常のある女性の方が、血清コルチゾール値(中央値8.5対6.7μg/dL)が有意に高かったことが分かりました。その他の検査結果に有意差はなかったものの、月経異常のある女性の方が、血清卵胞刺激ホルモン(FSH)値(同28.7対8.3mIU/mL)は高く、血清エストラジオール(E2)値(同12対17.95pg/mL)は低い傾向が認められました。

 

以上から、コロナ後遺症の女性患者の約20%がさまざまな月経異常を訴えそれに伴うQOLやメンタルヘルスの悪化を訴えていたことが明らかとなりました。 (小児科 土谷)

 

 

この記事をシェアする