院長先生のブログ
紅麹コレステヘルプに関連した腎障害に関する調査研究（中間報告）
日本腎臓学会から、紅麹コレステヘルプに関連した腎障害に関する調査研究（中間報告）が公表されています。
【年齢層】30〜70歳代まで認められるが、40歳～69歳が約9割
【性別】女性がやや多い傾向（66%）
【服用期間】約4割が1年以上前（服用開始が2023年3月以前）。ただし短期間の方（服用開始2023年12月、2024年1月、2月）も発症
【初受診日】2023年11月以降で、1月以降の受診が約8割
【症状など】
- 半数以上の症例で倦怠感や食思不振、尿の異常、腎機能障害
- 腹部症状や体重減少を訴える患者は約17%
- 発熱や嘔吐、頻尿、浮腫や体重増加などを呈する患者は比較的少ない
【検査異常】
- Fanconi症候群を疑う所見が目立つが、尿タンパクがやや多い
- 低K血症(3.3 [2.9-3.7] mEq/L; 約65%が3.5 mEq/L未満）
- 低P血症(2.0 [1.7-3.3] mg/dL; 約60%が2.5 mg/dL未満)
- 低尿酸血症(1.8 [1.4-3.2] mg/dL; 約60%が2.0 mg/dL未満)
- 代謝性アシドーシス(HCO3- 16.0 [13.0-18.2] mmol/L; 約65%が18.0 mmol/L未満)
- 尿糖陽性(約87%が3+以上)
- eGFR低下(17.8 [14.2-31.0] mL/min/1.73m2)
- 血清Cr上昇(2.3 [1.5-3.5] mg/dL)
- 尿蛋白増加(2.3 [1.5-2.9] g/gCr)
- 尿β2MG(21618 [3826-35763] ng/mL)
- 尿NAG(23.6 [14.5-33.1] IU/L)
- 血清CK (87 [68-152] U/L)の上昇はなく、横紋筋融解症による腎障害は否定的
【腎生検】34症例に実施
- 尿細管間質性腎炎、尿細管壊死、急性尿細管障害が主な病変
- 糸球体に病変を認めたという報告は1例のみ
上記のように、現時点で分かっている、症状や検査結果の特徴、病理学的診断まで書かれています。
医療関係者の方はチェックしておきましょう。 （小児科 土谷）