院長先生のブログ
HPVワクチン接種を後押しするものは?

HPVワクチンの積極的勧奨中止期間に接種対象年齢を迎えた女性を対象とした意識調査の結果を紹介します。
調査対象はHPVワクチンの積極的勧奨が中止された2013年6月~2022年3月に接種対象年齢を迎えた全国の看護大学(1089人)及び非看護系大学(899人)に在籍する女性計1988人です。2021年4~7月に無記名自記式質問票を郵送しました。
301人が参加に同意し、データ欠損者を除外した252人(平均年齢:21.3歳、看護系:46.2%)の回答を解析しました。ワクチン接種の意思決定因子を同定するため、年齢、学部、知識スコア、ワクチン接種の有無、接種回数(0-3回)、ワクチン接種に対する態度尺度、影響が予想される因子、性行為関連因子について質問しました。
ロジスティック回帰分析を用いた多変量解析の結果、ワクチン接種群における意思決定因子としては、年齢(1歳ごと上昇;OR:2.36〔95%CI 1.12-5.00〕)、ワクチン関連の話題に対する態度(OR:3.45〔95%CI 1.11-10.72〕)、親の勧め(OR:31.86〔95%CI 9.81-103.47〕)、無料クーポン(OR:4.96〔95%CI 1.11-22.16〕)に強い相関がみられ、副反応への不安(OR:0.06〔95%CI 0.01-0.24〕)は負の関連を示しました。ワクチン接種群と非接種群で、性交渉リスクの認知度に差はありませんでした。
意思決定に対する満足度に関連する因子について検討したところ、満足群では看護系学生の割合が高く、性交渉リスクの認知度は低かった(全てp<0.01)ことが分かりました。
以上をまとめると、親の勧めがHPVワクチンの接種を強く促す一方、副反応への不安が負の関連を示すことが分かりました。
当院でもHPVワクチン接種を実施しています。
接種する当事者や保護者の方々の不安を払しょくするために情報提供も行っています。
不安な点がある方は、接種前にスタッフまでお尋ねください! (小児科 土谷)