院長先生のブログ
ペインティッド・バード
年度末に向けて、積読してる場合ではないので、自宅の本を現在1冊ずつ消化しています。
2020年に『異端の鳥』という題名で映画化された本を読んでみました。
『ペインティッド・バード』 イェジー・コシンスキー
「第二次世界大戦が始まってから数週間、1939年の秋のことだった。六歳の少年が東欧の大都市から、何千という子どもたちと同じように、両親の手によって、遠い村へと疎開させられた。東欧に向かう旅人が、がっぽり金を取って、子どもに一時的な里親を見つけることを請け合った。」
この言葉から話は始まります。
父親は戦前に反ナチスの運動にかかわり、ユダヤ人でもあるためせめて子どもだけは危険から守ろうとした行動でした。
少年は、里親に死なれ養い主を失い、東欧の僻地の村々を彷徨います。
少年は黒髪で目が黒いため村人からはジプシーとみなされ、差別や迫害・暴力を受けながらもドイツ軍から逃れるため生き延びていきます。
少年が村人から受ける迫害や暴力・性的虐待は生々しく強烈で、且つ、村人たちが略奪者から受ける虐待なども非常に生々しく苛烈なものでした。
そして、少年は次第に「神」の存在に疑問を持つと共に、人間不信にもなっていきます。。。
当時見た映画はモノクロで、少年が放浪しながら体験する残酷さを、原作に忠実に表現されていたように思いました。
それにしても、外見や宗教の違い、住む地域の違いだけで、子どもまでも迫害してしまう人々、現在の世界情勢を見ても哀しい限りです。戦後の日本人のなかにも、多くの人びとによる差別がまだ蔓延っている現実、、悲しいとしかいえません。
人間のなんと憐れなことか・・・
そして、読み終わってないのに、つい次の本を衝動買いしてしまう自分のなんと愚かなことか・・・(小児科 土谷)