院長先生のブログ
気温と過換気症候群の関係は?

過換気症候群(HVS)の緊急入院時の周囲温度と日内温度差(DTR)について評価した論文(BMJ Open. 2024 Feb 22;14(2):e080318.)を紹介します。
研究デザインは分散ラグ非線形モデル(ラグタイムは5日間)で、入院時のデータは北京赤十字救急センター(2017-2018年)のものを使用しました。症例は2017~2018年の期間に北京救急センターへの受診歴があり、国際疾病分類第10版に従ってHVSと定義された患者です。暴露因子として、相対湿度、風速、降水量、季節性長期傾向、曜日を調整した周囲温度と日内温度差(DTR)を用いました。
周囲温度と過換気症候群(HVS)受診者数の間にはU字カーブが認められ、12℃で最も受診が少なかった。中等度の暑さ(23℃)は0~3日、猛暑では0日遅れで、それぞれ2.021(95%CI 1.101~3.71)、1.995(95%CI 1.016~3.915)と、HVSによる受診の相対リスクが最大でした。
日内温度変化では最高気温と最低気温の差が小さい(4℃程度)場合に受診が最も少なかったことが分かりました。
DTRとHVS受診の関係が逆U字型であったことである。低DTR(4℃)効果は、ラグ(0-1)日に0.589(95%CI 0.395~0.878)で現れ、ラグ(0-3)日まで0.535(95%CI 0.319~0.897)で持続し、女性と44歳以下ではHVS受診リスクの低下と関連していた。そして、これらの気温との関連は女性や44歳以下で特に強かったことが分かりました。
以上から、気温と日内温度差は過換気症候群の発症と関連しており、性別と年齢層で差がみられることがわかりました。
ここ最近、我々が普段生活する環境でさえ厳しくなってきているので、身を置く環境を調整をするだけでも過換気症候群のリスクを少しは下げることが出来るかも知れませんね。(小児科 土谷)