競技スポーツ中における突然の心停止の発生率はどれくらいなのでしょうか(The New England journal of medicine. 2017 11 16;377(20);1943-1953. doi: 10.1056/NEJMoa1615710.)。

Sudden Cardiac Arrest during Participation in Competitive Sports | New England Journal of Medicine

 

Rescu Epistry心停止データベース(ネットワーク地域内で、救急医療隊員が対処したすべての心停止の記録が含まれる)を用いて、2009~14年に12~45歳の集団でスポーツ中に発生したすべての院外心停止を後ろ向きに同定しました。患者に関する複数の情報源の記録(救急車の要請の報告、剖検報告、入院データ、患者・家族との直接面談の記録など)に基づき、突然の心停止(心原性)または非心原性の原因によるイベントの判定を行いました。

 

2009~14年の推定総フォローアップ期間は1,850万人年でした。試験期間中に、院外心停止を起こした2,144例が解析の対象となりました。スポーツ中の突然の心停止は74件で発生し、競技スポーツ中の事例が16件、競技以外のスポーツ中に起きた事例が58件でした。

 

競技スポーツ中の突然の心停止16件の競技別の内訳は、レース競技(マラソン、バイアスロン、トライアスロンなど)とサッカーが4件ずつ、バスケットボール、アイスホッケー、柔術が2件ずつ、野球、ラグビーが1件ずつでした。競技以外のスポーツ中では、ジム練習(12件)、ランニング(9件)が多かったことが分かりました。

 

競技スポーツ中の突然の心停止を年齢別でみると、12~17歳が4件、18~34歳が9件、35~45歳は3件で、全体の発生率は運動選手10万人年当たり0.76件でした。退院時の生存率は競技スポーツ中が43.8%、競技以外のスポーツ中は44.8%とほぼ同じでした。

競技スポーツ中の突然の心停止の原因は、35歳未満では原発性不整脈(6件)と構造的心疾患(肥大型心筋症、冠動脈奇形:5件)が多く、35~45歳では全例が冠動脈疾患でした。肥大型心筋症による死亡は2件で、不整脈原性右室心筋症による死亡は認められませんでした。競技スポーツ中の突然の心停止のうち3件は、事前スクリーニングを受けていれば同定が可能であったと考えられました。

 

以上から、競技スポーツ中における突然の心停止の発生率は、運動選手10万人年当たり0.76件で、構造的心疾患による競技中の突然の心停止の発生頻度は低いことが分かりました。

 

要するに、競技スポーツ参加中におこる突然の心停止の頻度は決して高くなく、原因は多岐にわたる、事前スクリーニングをしても、患者の80%以上は原因が同定されない可能性があるということみたい。

 

春から、また学校検診が始まるので、その前に読んでみました。いろいろと考えさせられる論文でした。 (小児科 土谷)