今回は子どもの予防接種に関する話題です( JAMA. 2025 Apr 24; pii: e256495.)。

Modeling Reemergence of Vaccine-Eliminated Infectious Diseases Under Declining Vaccination in the US | Infectious Diseases | JAMA | JAMA Network

 

ワクチンで予防可能な4つの感染症(麻疹、風疹、ポリオ、ジフテリア)について、小児期のワクチン接種率が低下した場合の感染者数および感染関連合併症数を推定するシミュレーションモデルを構築し、米国50州とコロンビア特別区におけるこれら感染症の輸入(importation)と動的伝播(dynamic spread)を評価しました。

このモデルは、人口動態、集団免疫状態、感染症の輸入リスクに関する地域別推定値に基づくデータを用いてパラメーター化されており、25年間にわたる異なるワクチン接種率のシナリオを評価しました(現在のワクチン接種率は、2004~23年のデータを使用)。

主要アウトカムは、米国の麻疹、風疹、ポリオ、ジフテリアの推定感染者数、副次アウトカムは感染関連合併症(麻疹後神経学的後遺症、先天性風疹症候群、麻痺性ポリオ、入院、死亡)の推定発生率、および感染症が再びエンデミックレベルとなる可能性とその時期としました。

 

その結果、本シミュレーションモデルにおいて、(米国内の影響に大きなばらつきがみられたものの)現在の州レベルのワクチン接種率では、麻疹が再びエンデミックレベルとなる可能性は83%、エンデミックレベルとなるまでの平均期間は20.9年、25年間で推定感染者数は85万1,300例(95%不確実性区間[UI]:38万1,300~130万)に上ることが予想されました。

麻疹・流行性耳下腺炎・風疹(MMR)ワクチン接種率が10%減少した場合、麻疹の感染者数は25年間で1,110万例(95%UI:1,010万~1,210万)となる一方、接種率が5%増加した場合は5,800例(3,100~1万9,400)にとどまると予測されました。

他の感染症については、現在のワクチン接種率ではエンデミックレベルとなる可能性は低いが、小児期の定期接種が50%減少した場合、25年間で麻疹5,120万例(95%UI:4,970万~5,250万)、風疹990万例(640万~1,300万)、ポリオ430万例(4~2,150万)、ジフテリア197例(1~1,000)が発生すると予測されました。

この場合、エンデミックレベルとなるまでの期間は麻疹が4.9年(95%UI:4.3~5.6)、風疹は18.1年(17.0~19.6)であり、ポリオについてはエンデミックレベルとなる可能性は56%で、エンデミックレベルとなるまでの期間は19.6年(95%UI:4.0~24.7)と予測されました。

 

以上から、小児期のワクチン接種率の低下は、ワクチンで予防可能な、かつて排除された感染症のアウトブレイクの頻度と規模を増加させ、最終的に再びエンデミックレベルに戻る可能性があることが分かりました。

 

SARS-Cov-2のパンデミックを機に、ワクチン接種率が低下したことが日本でも指摘されています。本研究から導き出されるようなことが日本でも起こる可能性は否定できません。接種時期が来たら、忘れずに予防接種を受けましょう。 (小児科 土谷)