普段はきちんと出来ている「服薬」「薬剤管理」も非日常である旅行の際、疎かになってしまうことも多々あると思います。

そこで、今回は旅行中の薬剤管理に焦点を絞って触れたいと思います。

お薬は少し余裕をもたせて持参しましょう

旅行日数分ぴったりの薬剤を持参する人も多いと思いますが、旅にトラブルはつきもの。事故や災害・交通機関のトラブルで足止めを受けてしまうと薬剤が足りなくなってしまいます。糖尿病や喘息、てんかんなどの基礎疾患があり、毎日服薬をしているお子さんの場合、国内旅行なら2-3日程度、海外旅行なら1週間程度余裕をもたせて持参すると良いでしょう。

 

旅先の医療機関を受診して必要な薬剤を処方してもらう場合、お薬手帳(海外旅行であれば薬剤証明書)があると非常に便利です。

薬剤の保管・管理に注意しよう

薬剤には、薬ごとに適した保管温度が設定されています。個々の薬剤添付文書の記載をきちんと確認した上で、規程の温度範囲内から大きく逸脱しないように保管・管理を行いましょう。特にインスリン製剤は温度変化によって変質・変性して効果が減弱するリスクもあるため、細心の注意が必要です。

 

具体的には、暑い季節に高温になりやすい自動車内に薬を放置しない、手荷物として持ち歩く場合保冷バックを活用する(保冷剤が薬と直接触れないよう注意しましょう)といった対策が必要です。

また、航空機に乗る際、薬をスーツケースに入れて預けてしまうのではなく、手荷物として機内に持ち込むようにしましょう。これは貨物室内の極端な低温に曝されることを防ぐだけでなく、ロストバゲージが起きても大切な薬剤が手元に残るようにするためです。

海外旅行の際は「薬剤証明書」を準備しよう

薬剤によっては治療目的で所持していた場合でも、法律によって罰せられるおそれがあるものがあります。また、「治療目的での所持」であることを証明できなければ、出入国に時間がかかったり、場合によっては薬や機材を没収されてしまったりすることがあります。

 

海外旅行で医薬品を国外に持ち出す場合、特に医療用麻薬や向精神薬、睡眠薬、注射器・注射針などがある場合は、英文の「薬剤証明書」を持参しましょう。海外旅行時は荷物の盗難や紛失も多いので、パスポート等と一緒に肌身は出さず持っておきましょう。

また、どの薬にどんな規制がかかっているかは国や地域で異なりますので、渡航先の在日大使館等に予め問い合わせて確認しておくと良いでしょう。

市販薬を現地調達する際の注意点

海外では、病院でよく使用される製剤と同等のものが市販薬として販売されていることがあります。

緊急性のない症状であれば市販薬を購入して対応することも選択肢になりますが、市販薬の中には必要以上に多くの成分が配合されていたり、安易に選択すると副作用や薬剤相互作用のリスクが高くなる可能性もあるので注意が必要です。

 

6歳未満の子どもの風邪症状に市販薬で対応することは推奨されておらず、病院・医療機関受診が基本になることは覚えておきましょう。また、2歳以下の子どもは乗り物酔いを起こすことが少ないため、嘔吐・吐き気がある場合は他の原因を考えましょう。

 

 

最後に、旅行中の服薬忘れを切欠に、普段の薬物治療まで疎かになってしまうケースがあります。

帰宅・帰国後の服薬アドヒアランスの低下を防ぐため、お薬の飲み忘れのないよう、心がけましょう! (小児科 土谷)