久々の旅行ネタです。これから暑い夏がやってきます。

お子さんを連れて海にレジャーに出かけられる方も多いと思いますので、今回は海洋危険生物ネタにしようと思います。

ちなみに、海洋危険生物による健康被害は特に6~10月の夏場シーズンに集中しており、約半数が10歳未満と10代のお子さんで占められています(沖縄県における海洋危険生物刺咬症被害発生状況 2024年より)。

 

海洋危険生物によって引き起こされる刺傷・咬傷は加害生物によって、刺胞毒群、刺毒群、神経毒群、皮膚刺激群、外傷群に分類され、これらを引き起こす原因生物は刺胞動物、環形動物、軟体動物、刺皮動物、脊椎動物、爬虫類、その他の7つに分類されていますが、加害生物の特定は困難な場合が多いことが知られています。原因が特定されたものでは、刺胞動物による被害が最も多く、続いて魚類、刺皮動物が多いようです。

気をつけよう!!海のキケン生物|沖縄県公式ホームページ

刺胞毒群

ハブクラゲを筆頭に、カツオノエボシ、ウンバチイソギンチャクによる被害が知られています。

ハブクラゲ

カツオノエボシ

ウンバチイソギンチャク

刺胞動物は触手を持ち刺胞を備え、その中に毒素を伴った無数の刺糸が格納されています。物理化学刺激により刺糸が発射され、皮膚に毒素が注入されることで被害が発生します。受傷直後から触手の接触部位に一致して激しい痛み、灼熱感とともにみみずばれ様の発赤・腫脹、続いてひも状の水泡形成が生じ、さらに水泡が破れて皮膚びらんや潰瘍へと増悪していきます。

 

毒成分は主に蛋白毒で、皮膚壊死活性、溶血活性、神経毒性、筋肉毒性を有しており、皮膚症状だけでなく、急性心不全、低血圧、心停止などを引き起こします(特に子どもの場合は、相対的に受傷面積が広くなり大量の毒素が注入される可能性が高く重篤な症状が引き起こされるので要注意)。

刺毒群

オニダルマオコゼやエイなどの魚類とオニヒトデなどの刺皮動物の毒棘による傷痕・毒による疼痛が主な症状です。

オニダルマオコゼ

オニヒトデ

神経毒群

ウミヘビ、イモガイ、ヒョウモンダコによる被害が知られており、神経麻痺作用による呼吸困難などから死亡率が高いことが特徴です。

ウミヘビ&イモガイ

ヒョウモンダコ

皮膚刺激群&外傷群

皮膚刺激群は、体表に剛毛をもつウミケムシと甲殻類の幼生のゾエアによる被害で、ウミケムシの剛毛が刺さると疼痛や掻痒が生じるほか、ゾエアの場合はいわゆる海水浴皮膚炎を引き起こします。

外傷群は、主にサメ、ダツ、ウツボなどによる被害です。

初期対応と治療

海洋危険生物による局所症状と応急処置を以下の表に示します(沖縄医報 Vol.59 No.12 2023より抜粋)。

ハブクラゲ刺傷では、皮膚に絡みついた触手に未発射の刺胞が多く残っているため、刺激しないように除去する必要があります。

食酢は刺胞の発射を抑えるため、ハブクラゲの触手を洗い流す際にたっぷり使用しましょう。

*食酢はハブクラゲにのみ有効で、それ以外の刺胞毒群には、症状を増悪させるため使用禁忌です。

何事も予防が大切です

受傷しないように、旅先では万全の準備と慎重な行動をすることが大切です。

ビーチではハブクラゲ侵入防止ネットの中で遊泳すべきです。海へ出かける際は、事前にネットを設置しているかビーチに確認することをおすすめします。

また、小さなお子さんでは、ラッシュガードや長袖のシャツの着用も効果的です。

 

今回述べたように、海には危険がいっぱいです。

安全に海を楽しむために、普段から正しい知識と十分な備えをしておきましょう。 (小児科 土谷)