眼窩骨折はスポーツによる外傷の中で比較的頻度が高いもので、救急外来に受診される患者さんも多くいらっしゃいます。
米国におけるスポーツ関連眼窩骨折について、外傷の詳細や合併症発生率を検討した論文(Ophthalmology. 2025 Nov;132(11):1224-1230. doi: 10.1016/j.ophtha.2025.06.016.)を紹介します。
The Epidemiology of Sports-Related Orbital Fractures in the United States – Ophthalmology
調査の対象は、2014〜2023年に全国電子傷害監視システム(NEISS)データベースに登録された症例です。データベースから眼窩骨折の症例を抽出するため、身体部位を「顔面」、診断を「骨折」、外傷の記述の関連キーワードを「眼窩」「眼瞼」などとして検索しました。データベース未登録の症例を含む全国症例数は、NEISSによる統計的重み付けを用いて推定しました。さらに、2019〜2023年の症例については、眼あるいは眼周囲合併症の有無の記録も照会し、記述統計で解析しました。
解析の結果、NEISSデータベースに登録されたスポーツ関連眼窩骨折の実症例は1468例で、全国推定4万9765例(95%信頼区間:4万7219-5万2311)に相当しました。患者の平均年齢は27.1歳、最頻値は10〜19歳で、性別は男性が79.0%を占めていました。競技別では野球(28.6%)、自転車(23.1%)、ソフトボール(6.7%)の順に多く、骨折部位は眼窩底が59.8%で最多でした。さらに、2019〜2023年の865例では、13.8%に眼あるいは眼周囲合併症が認められ、そのうち17.6%が眼瞼裂傷、13.4%が角膜擦過傷、9.2%が前房出血でした。
以上から、スポーツ関連眼窩骨折は若年男性に多く、特に野球と自転車競技が主要因である可能性が示唆されました。
今回の結果から、「ボールが高速で顔面に当たりやすい競技」と「転倒リスクが高い競技」における対策が特に重要。外傷予防の観点から、学校などでも眼を守る装具の普及が急務であるものと思われます。 (小児科 土谷)

