今回は微小粒子状物質(PM2.5)による健康被害に関する論文( BMC medicine. 2025 Nov 28;23(1);647. pii: 647.)です。
米国、英国、台湾、中国、デンマークなどに住む151万5,094人を対象とした7つの研究データを統合して解析しました。これらの研究の追跡期間中央値は12.3年で、この間に11万5,196人が死亡していました。
その結果、1週間当たりの運動量が7.5〜15MET/時間(150〜300分/週の中強度の運動に相当)と推奨レベルを満たしていた人では、死亡リスクが約30%低いことが示されたものの、同じ運動量でも、空気が汚れている地域(PM2.5濃度≧25μg/m3)で運動を行っている場合には、死亡リスクの低下は12〜15%とほぼ半減することが明らかになりました。
次に、3つの大型コホート(86万9,038人、死亡者数4万5,080人)を対象に、個人レベルでPM2.5の濃度別に運動の効果を比較し、この結果が再現されるのかを検討しました。その結果、ほとんど運動をしない群(1週間当たり1MET/時間未満)+高汚染(PM2.5濃度が35〜50μg/m3)を基準とした場合、運動量の推奨レベルを満たしていた人の死亡リスクは、PM2.5 濃度が35〜50μg/m3で25%(ハザード比0.75)、25〜35μg/m3で33%(同0.67)、15〜25μg/m3と10〜15μg/m3でそれぞれ66%(同0.34)、10μg/m3未満で70%(同0.30)低下し、大気汚染レベルが高いほど、死亡リスクの減少幅は小さくなることが示されました。
以上から、運動がもたらす死亡リスクの低減効果は大気汚染のひどい地域に住む人では半減することが示されました。
運動が有益であることは間違いありませんが、大気の質を改善すれば、健康上の利益をもっと高めることができると思います。
運動の健康効果を最大限に引き出すためにも、出来ることから環境問題に取り組みましょう。 (小児科 土谷)

