昨日の内容に関連した論文です(JAMA. 2025 Mar 30; pii: e253026.)。
Cardiac Arrest During Long-Distance Running Races | Cardiology | JAMA | JAMA Network
米国で行われた2010~23年のマラソンおよびハーフマラソンにおける心停止の発生と転帰を明らかにするため、レース完走者の記録およびメディア記事、レース主催者への直接的なコンタクト、全米陸上競技連盟(USA Track & Field)のインシデントレポートおよび生存者または近親者へのインタビューによる包括的なケースレビュー(観察的ケースシリーズ)を行いました。
2010年1月1日~2023年12月31日の米国のマラソンおよびハーフマラソンのコホートデータをRace Associated Cardiac Event Registryから得て、ケースプロファイル・レビューを行い、原因および生存に関連した因子を調べ、発生および原因のデータを参照基準とした過去のデータ(2000~09年)と比較しました。主要アウトカムは、心停止発生率および死亡率です。
その結果、米国の2010~23年の長距離ランニングレースのレース完走者2,931万1,597人(男性44.5%、マラソン完走者23.2%、ハーフマラソン完走者76.8%)において、心停止の発生は176件(男性127人、女性19人、性別不明30人)でした。心停止発生率は0.60件/10万人(95%信頼区間[CI]:0.52~0.70)で、2000~09年(0.54件/10万人[95%CI:0.41~0.70])と比較して変化は認められませんでした。
突然死の発生率(2010~23年0.20件/10万人[95%CI:0.15~0.26]vs.2000~09年0.39件/10万人[0.28~0.52])および致死的ケースの発生率(34%vs.71%)は、大幅な低下がみられました。
心停止は、男性(1.12件/10万人[95%CI:0.95~1.32])のほうが女性(0.19件/10万人[0.13~0.27])よりも多く、またマラソン参加中(1.04件/10万人[0.82~1.32])のほうがハーフマラソン参加中(0.47件/10万人[0.38~0.57])よりも発生が多かったことが分かりました。心停止の原因が明確に特定できたランナーでは、肥大型心筋症よりも冠動脈疾患(CAD)が最も多い原因でした。心肺蘇生時間の短縮と初期の心室頻脈性不整脈が生存と関連していました。
以上から、長距離ランニングイベントにおける心停止の発生率は一定しており(変わっていない)、心停止による死亡率は大きく減少したことが分かりました。
きっと速やかな除細動器(AED)へのアクセスが改善されたことが生存率の改善に寄与しているのでしょう。
スポーツイベントにAED!お忘れ無くw (小児科 土谷)

